腹筋
次に、姿勢を維持する筋肉の中でももう一つ大切な筋肉、「腸腰筋」について見てみましょう。
腸腰筋は、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉。大臀筋の主な拮抗筋(筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉のこと)として、腿上げに使われる筋肉です。
腸腰筋を鍛えることで、例えばランニングにおいては、身体が安定し、推進力が増加するなど、運動能力との相関が強いと言われています。
筋肉は基本的に収縮することで働くものですが、腸腰筋が働く時、つまり収縮する時は、骨盤が前方に引っ張られる形になるため、腰が反りやすくもなります。腹直筋が弱いと腰が反りがちになるということと、腸腰筋が収縮するときは腰が反りやすくなるという2点を踏まえた上で、スポーツする時の腹筋の重要性を見てみましょう。
例えば、ランニングの時は、脚を上げるたびに腸腰筋に引っ張られて腰が反りやすくなりますが、ここで腹直筋がしっかり働いて腰が反るのを止められないとどうなるでしょう。
なんと長距離を走る結果として反り腰がひどくなり、腰痛へと発展しかねないのです。
つまり、健康や身体作りのためにランニングを始めたのに、ランニングのせいでかえって腰痛になってしまうというショッキングな事態にも。そしてこれは、サイクリングなど他のスポーツでも同様のことが言えるのです。
腹筋
まずは腹筋を構成する数ある筋肉群の中から「腹直筋」について見てみましょう。
腹直筋は文字通り、お腹をまっすぐに覆っている筋肉のことで、肋骨の下から恥骨まで繋がっています。腹直筋が鍛えられている人は、お腹に力を入れると6つに割れることから、俗に「シックスパック」言われるところですね。逆に腹直筋が弱い人は、ポッコリお腹になってしまいます。
腹直筋の役目は、身体を起こすときに使われる筋肉、簡単に言えば、「腰を丸める」ための筋肉です。つまり反った腰をもとに戻す役目をする筋肉で、これが弱いと腰が反りがちになってしまいます。
腹筋
腹筋はスポーツ動作の姿勢を左右する
人間の身体には600種類もの筋肉があると言われていますが、誰もが多かれ少なかれ気にしている一番メジャーな筋肉と言ったら、やはり腹筋ではないでしょうか。
見た目の体つきを気にする人はもちろん、腹筋が弱いと腰痛が起こりやすくなることから、健康を気にする人にとっても腹筋は重要。そしてスポーツマンにとっても腹筋は姿勢の維持に大きな役目を果たし、パフォーマンスに大きな影響を与えることから、それ以上のレベルで重要な意味を持ちます。
下半身
脚力改善エクササイズ
ステップランジ&キックバック
片足で立ち、グラつかないようにコントロールする
挙げている足を大きく前に踏み出し、踏み込んだ足の膝が90度に曲がるくらいまで腰を落とす
上半身は前傾しないようにキープして1秒ほど耐える
踏み込んだ足で今度は地面を強く蹴って、もとのような片足立ちに戻る
完全にもとの位置にもどって、グラつかない状態を3秒ほど維持できたらまた踏み込む
上記を10回繰り返して、反対足も同様に行う。3セット行うポイント
片足立ちの時にグラつかないようにコントロールすること
踏み込んだ足の膝がグラつかないようにコントロールすること
踏み込んだ時に、上半身は起こしておくこと(前傾しないこと)今回紹介したような、簡単な改善エクササイズでも、脚脚力は向上します。
あとは普段の生活の中でも、1駅分歩くとか、なるべく階段を使うとか、身体を動かすことを心がけて、いつまでも健康的な身体を保ちたいものですね。
下半身
体力低下のものさし、脚筋力の測定
運動機能をつかさどる骨、関節、筋肉は、年をとるにしたがってさまざまな老化現象を引き起こし、日常生活に支障をきたしていくものです。そんな加齢の影響が不可避な身体能力に中でも、特に歩行能力の低下に直結する脚筋力は重要な意味を持ちます。
onyourmarkのユーザーには、極端すぎる例かも知れませんが、デスクワークがメインの仕事につき、食生活にたいして気を配ることなく、運動不足の生活を送るとします。
日々身体を動かすことがないので、脚筋力は徐々に低下、そして不活動が原因で肥満も進み、脚筋力低下と反比例するように体重は増えていくばかり……。
その結果、体重を支えることが困難になるため、ますます階段を昇ることが億劫になってエレベーターを多用し、外出して歩き回ることを避けるような生活スタイルに。
脚筋力は加速度的に退化し、ある日、ちょっとバランスを崩しただけで体が支えられなくて転倒して大ケガをしてしまう、なんていう負のスパイラルも、あり得ない話ではないのです。
脚筋力とは下半身の総合力である
脚筋力というとたいていは「太ももの筋肉=大腿四頭筋」という認識を持たれがちですが、そこに大きな誤解があります。
大腿四頭筋はあくまで「膝を伸ばす」ための筋肉。人はその筋肉だけで立っているわけではないのです。
以下に椅子から片足で立ち上がる時に必要な筋肉をあげると、
曲がっている膝を伸ばす → 大腿四頭筋(大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋)
曲がっている股関節を伸ばす → 大臀筋 ハムストリングス
膝が外側にぐらつかないように固定する → 内転筋
膝が内側にぐらつかないように固定する → 中臀筋 大腿筋膜張筋
これ以外にも、まだまだ複数の筋肉が関係しています。
これらの筋肉を総動員して、より安定的に力を発揮することが脚筋力には重要です。
つまり、ただ単に太ももの筋力が強いというだけでなく、下半身が総合力を発揮して、グラつかず、安定した状態で筋力を発揮できることが大切であり、特にスポーツの動作を行う際にはこの総合力という部分が重要になるのです。
つまり、大腿四頭筋だけをトレーニングしているだけでは不十分、スポーツ動作を高めるためには、上記の筋肉を総合的に鍛えるトレーニングが有効になります。
肩凝り
肩周りの筋肉の柔軟性を保つためには「良く動かし」「良く伸ばす」ことが重要となります。
測定結果が思わしくなかった方は、次の改善エクササイズに挑戦してみてください。
改善エクササイズ
タオルローリング
バスタオルの両端を持ち、肘を伸ばしたまま軽く横に引っ張るようにして体の前に下ろして構える。ここがスタートポジション。
左手をできるだけ下にキープしたまま、タオルをたるませないように横にひっぱりながら、右手を頭の上の方にローリングするように引き上げる。この時、肘はできるだけ伸ばしたままにする。
肘を伸ばしたまま、右手を背中側に回して行き、そのまま背面で両手を下まで下ろす。(イラスト右)
今度は右手を下にキープしたまま左手を背面側からローリングするように頭の上に引き上げる。やはり肘は伸ばしたまま。(イラスト中央)
肘を伸ばしたまま左手を前面に下ろし、スタートポジションに戻る。(イラスト左)
今度は逆回しで、左手を前から挙げる形で1周し、この右回しと左回しで1セットとする。
5セット行う。(可能ならもっと行っても問題ない)
注意点
肘はできるだけで良いので、終始伸ばしたままにしておくこと。
タオルの持つ位置を短くするとレベルの高い運動になる。
万一、痛みがある場合には無理に行わないこと。
肩をすくめないように、首を長くする意識で行うと更に効果が高い。
肩の柔軟性が低いと言うことは、腕の動きが悪くなるということになります。
当然、すべてのスポーツでは腕が良く動くことは重要であり、腕が良く動かないと不適切な動作や無理な動作を行いやすくなり、パフォーマンスが下がるだけでなく、怪我の可能性も高まるといえるのです。
また、筋肉が硬いということは血行不良をまねくため、いわゆる「コリ」の原因にもなります。
スポーツパフォーマンスを向上させたい方はもちろん、肩こりを解消したい方も、ローリングストレッチを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
肩凝り
肩の柔軟性とは?
「肩が硬い」という言い方をすることがありますが、この表現はあまり適切ではありません。
肩関節は様々な筋肉によって動かされていますが、その筋肉が硬くなってしまい、肩の動きに制限をかけてしまっているのが「肩が硬い」という状態なのです。つまり肩が硬いのではなく、「肩周りの筋肉が硬い」というのが正しい表現。
硬くなってしまうと肩の動きを悪くする主な筋肉は以下のとおり。
・大胸筋
・広背筋
・僧帽筋
・前鋸筋
・肩甲下筋
・棘上筋
・棘下筋
・小円筋
・三角筋
これだけ沢山の筋肉が関係しているので、一概に「肩が硬い」と言っても、どの筋肉が硬いのかによって肩の動きの硬さに違いがあるということになります。つまり、腕が上がりにくい人と肩が回りにくい人では、どこの筋肉に問題があるのか異なっているということになります。特に僧帽筋が硬いと、全ての肩の動きが悪くなります。
硬くなりがちな肩周りの筋肉
筋肉が硬くなるのは「使い過ぎ」あるいは「使わな過ぎ」が原因です。
筋肉は「縮む」という能力しかなく、自ら「伸びる」ということはできません。従って、伸ばすためには「外力」で引き伸ばす必要があります。
使い過ぎた筋肉は当然縮みがちになり、また使わな過ぎた筋肉は、動かされないためにやはり縮んだままになります。要するに、普段から「動かす、伸ばす」ということをやっていないと筋肉は硬くなっていってしまうのです。
インナーマッスル
インナーマッスル改善エクササイズ
ワンレッグ・ワンハンドプランク
方法
腕立て伏せのスタートポジションを作る(膝はつかない)。
両手は肩幅、両足は腰幅で構える。
肩からかかとまでが一直線になるように姿勢を作る。
この一直線を崩さないように維持したまま右手を10秒上げ、右手を戻して左手を10秒上げ、左手を戻して右足を10秒上げ、右足を戻して左足を10秒上げる。
30秒ほどのインナーバルを入れて3セット行う。
ポイント
いかにすればグラつかないかを体に覚えさせる意識で行うと上達しやすい。
体の一直線が崩れているとほぼ意味を持たないので、特に注意する。
手足のローテーションや維持の秒数などは変化させても構わない。不得意なポジションを認識して、特にそこを繰り返すと身体能力が大きく向上する可能性が高い。
相撲の突っ張り、ボール投げ、綱引きなどは、腕の力だけでやろうとすると、とたんにパフォーマンスが悪くなります。下半身の力を、体幹を通して上半身にしっかり伝えることで力強いプレーが生まれるので、まさにファンクショナルコアが重要な運動と言えます。
腹筋だけをムキになって行うのではなく、こうしたエクササイズも取り入れて、効果的な身体作りをしていきたいですね。
インナーマッスル
「体幹=インナーマッスル」は間違いですタイトルにある「体幹連動性」という言葉を見て「?」となった方もいることでしょう。「体幹」なら知っているけど、連動性ってどういうこと?と聞きたくなるかも知れません。
そもそも、すっかりおなじみになった体幹という言葉ですが、書籍や指導者によっても定義がまちまちで、曖昧に理解している方が多いようです。
特に、「体幹=インナーマッスル」と思っている方がいますが、それは間違いです。体幹という言葉が身体の内側をイメージさせるのかもしれませんが、体幹にはアウターマッスルも含まれるのです。体幹とは要するにウエスト周りのインナーマッスルとアウターマッスルを指します。
体幹のインナーマッスルは腰椎、つまり背骨を保護する役目があります。
このインナーマッスルが弱いと腰椎が安定しないので、腰を反らし過ぎてしまったり、逆に腰を丸め過ぎてしまったりして、腰痛を誘発する大きな原因になります。当然スポーツパフォーマンスも下がってしまいます。腰椎を保護する役目のインナーマッスルには以下の4つがあります。
横隔膜・・・胴体の内側を上から押さえつける
骨盤底筋・・胴体の内側を下から押さえつける
腹横筋・・・胴体の内側を前から押さえつける
多裂筋・・・胴体の内側を後ろから押さえつけるこれら4つが同時に機能すると、胴体の内側が1つのブロックのように固まって、それが柱となって腰椎を保護します。
一方、体幹に含まれるもうひとつの筋肉群アウターマッスルは、実際に身体を動かすという役割があります。体幹のアウターマッスルとは以下の筋肉のことを指します。
腹直筋・・・腰を丸める
内・外腹斜筋・・・腰を捻る、腰を横に折る
脊柱起立筋群・・・腰を反らすこれらのアウターマッスルによって身体が動く時に、インナーマッスルが機能していないと、腰椎に対して不適切な負担をかけてしまうことになります。
体幹トレーニングをする時には、インナーマッスルとアウターマッスルが協調して働くことを意識することが大切になります。
上半身のバランスを司る広背筋の重要性
使った筋肉はストレッチが重要
筋肉は使ったあとは縮んだままになりがちで、そのまま放置すると柔軟性が低下することにつながります。使った広背筋は必ずストレッチしてください。
椅子に座り、右足を横に流す(単なるストッパーの役目)。
右手で左手首をつかみ、バンザイをした状態から右手で左手首を右に引っ張るようにして体を右に倒す。
この時、左肘をできるだけ高い位置にキープする事が重要。
30秒キープしたら、反対側も同様に行う。
あらゆるスポーツに関わる広背筋
広背筋はからだの裏側にあり、自分では目が届きにくい筋肉。けれども運動をするときに上半身のバランスを保つ大事な役割を担っています。 そのため、あらゆるスポーツにおいて重要視される筋肉です。広背筋を鍛えてみなさんの取り組むスポーツのパフォーマンス向上に役立ててください。