生活習慣による偏頭痛
生活に支障が起きやすい片頭痛
繰り返し起きる頭痛(慢性頭痛)にはいくつかの種類がありますが、その中でも日常生活に支障が起きやすいのが「片頭痛」です。最もよく起きる頭痛である「緊張性頭痛」が、頭全体がギューッとしめつけられるような痛みであるのに対して、「片頭痛」はこめかみから目のあたりがズキンズキンと痛みます。体を動かすと痛みが増すので仕事や家事をしたくなくなり、いったん痛みだすとしばらく続き、1ヶ月に1~2度、多い人では1週間に1度と周期的に繰り返すのが特徴です。
片頭痛は20代~40代の女性に多いといわれています。初潮を迎える年代を過ぎると片頭痛になる女性が男性をはるかに上回るようになること、生理前から生理中にかけて痛みに悩まされるケースが多いことなどから、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。
ただし片頭痛を引き起こすのは女性ホルモンだけではなく、片頭痛は男性にも起きます。ストレスや肩こりが片頭痛の引き金になりますが、ストレスから解放されてほっとする時に痛みが強まることもあります。また、タバコやアルコール、寝不足、寝すぎ、疲労、空腹、片頭痛を誘発する食品などによっても、片頭痛が起こることが知られています。
偏頭痛
緊張型頭痛の対処法
1)温めて、こりをほぐすマッサージ、蒸しタオル、半身浴などで温めて、首、肩の筋肉のこりを取り、血行をよくしましょう。先にご紹介したストレッチも効果的です。
2)気分転換をする頭痛が始まったら、心身にストレスを加えていることを中止し、例えばその場所から離れるなどして、早めに気分転換をしましょう。
偏頭痛
■緊張型頭痛の予防法
1)長時間同じ姿勢をとらない姿勢を正して、同じ姿勢で長時間の作業をしないようにしましょう。
2)肩、首の血行アップ気づいたときには以下のような簡単なストレッチをこまめに行い、首や肩の筋肉の緊張をほぐしましょう。
両肩を上げてストンと落とす
● 両肩を上げてストンと落とす両肩をキュッと上げて、ストンと落とします。力を入れすぎず、自然な状態で10~20回程度行います。
首を左右に倒す
● 首を左右に倒す
左手を頭にのせて、右肩の力を抜いて左側へゆっくりと首を倒します。反対側も同様に。左右とも5~10回程度ずつ行います。
イスに座って前屈
● イスに座って前屈
イスに浅く腰をかけ、脚を前に伸ばします。両肩の力を抜いてリラックスしながら、首を前にゆっくりと倒します。5~10回程度行って。
3)枕の高さを調整高すぎる枕、柔らかい枕は首の負担になり、知らず知らずのうちに筋肉を緊張させることに。高すぎず、柔らかすぎない自分に合った枕を選ぶことで予防ができます。
偏頭痛
■片頭痛の対処法
1)冷やすのは○、温めるのは×冷たいタオルなどを痛む部位に当てると、血管が収縮して痛みの軽減に役立ちます。一方、入浴やマッサージなどは血管を拡張させるので痛みが増すことになり逆効果に。
2)静かな暗い場所で休む頭痛の最中に体を動かすと痛みが増し、光や騒音でも痛みはさらに増してしまいます。できるだけ、静かな暗い場所で横になりましょう。
3)カフェインを適量コーヒー、紅茶、日本茶に含まれるカフェインは血管を収縮する作用があり、痛みの早期に飲むと痛みが軽減。ただ、連日の過剰摂取は逆に頭痛を誘発するので注意して。
頭痛
予防法■片頭痛の予防法
1)頭痛日と環境をチェックたとえば人ごみや睡眠不足など、どのような環境が重なったときに片頭痛が起きるかを記録しておくことで、原因となる環境を特定し、該当する時期にそうした環境を避けるようにします。
2)規則正しく睡眠をとる寝不足、寝過ぎ、疲労、空腹など体のストレスは片頭痛の引き金になるので避けましょう。とくに週末の寝だめや二度寝は、空腹と寝すぎが重なって片頭痛を重くするので要注意です。
3)頭痛の誘発食品を控えるチョコレート、チーズ、ハム、ヨーグルト、赤ワインなど片頭痛を誘発するといわれる食品の摂り過ぎには注意しましょう。
頭痛の症状
症状
脈打つように痛み、吐き気も伴う「片頭痛」 頭全体が締め付けられるように痛い「緊張型頭痛」
「片頭痛」が起こる直前には肩こりが出ることもあり、こめかみから目のあたりがズキンズキンと心臓の拍動に合わせるように痛みます。 頭の片側だけが痛いとは限らず両側が痛むこともあり、日常生活に支障が出ることもある発作性の頭痛です。
「片頭痛」の特徴は体を動かして頭の位置を変えると痛みが増幅することです。また頭痛以外に吐き気、嘔吐、下痢などの随伴症状があり、光、音、におい、気圧や温度の変化に対し敏感になることも特徴です。
頭痛は数時間程度のこともあれば、3日間くらい続くこともあり、頻度や時間には個人差がありますが、多い人では1週間に1回と周期的に頭痛を繰り返します。
一方、無理な姿勢の維持や長時間のパソコンの使用などによって、目の疲れや倦怠感などとともに痛みが現れやすいのが「緊張型頭痛」。後頭部から首筋を中心に頭全体がギューッとしめつけられるように痛みます。
吐き気や嘔吐などといった頭痛以外の症状は現れず、日常生活への支障も片頭痛ほどではありませんが、数時間で治まる場合や、頭痛が数ヶ月以上も続くなど、慢性化するケースもあるようです。
頭痛の種類
頭痛 原因別の頭痛タイプを見極めることが大切日本人のうち約4,000万人が慢性頭痛を有していると推定されています。これほど身近ということもあって、「頭痛くらい」と軽く考えられがちですが、ひどくなると生活に支障をきたす場合や、背後に命にかかわる病気が隠れていることもあります。 頭痛と一言で言っても、その原因は様々で、それよって予防法や対処法が大きく異なるため、一歩間違えればかえって痛みが悪化するなど、逆効果にもなりかねません。 そこで、身近な「片頭痛(へんずつう)」と「緊張型頭痛」を例に、頭痛の原因別予防法・対処法について、東京女子医科大学・頭痛外来の清水俊彦先生に伺いました。
原因
脳の血管が拡がって痛む「片頭痛」 頭の周りの筋肉が緊張して痛む「緊張型頭痛」
何らかの理由で脳の血管が急激に拡張して起きるのが「片頭痛」です。 脳の血管が拡張することで、周囲の三叉(さんさ)神経を刺激し、刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡張して「片頭痛」を発症します。
心身のストレスから解放されたときに急に血管が拡張することがあり、仕事のない週末などに「片頭痛」が起こることもあります。そのほか、寝過ぎ、寝不足、女性ホルモンの変動、空腹、疲労、光や音の強い刺激なども、「片頭痛」の誘因とされています。
一方、「緊張型頭痛」は、頭の横の筋肉や、肩や首の筋肉が緊張することで起きます。 筋肉の緊張で血流が悪くなった結果、筋肉内に老廃物がたまり、その周囲の神経が刺激されて起きる痛みです。
「緊張型頭痛」を引き起こす原因は、精神的・身体的ストレスであることが多く、コンピューター操作などで長時間同じ姿勢をとり続けている人に起こりやすい病気です。また、筋肉の緊張ではなく、うつ病など心の病気が原因となる「緊張型頭痛」もあり、また「片頭痛」を併せ持つ人もいます。
精神的ストレスが腰痛を招く
使える薬が増えている 10年くらい前までは、腰痛の薬物治療というと「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)」くらいだった。現在は症状、原因、病歴などにあわせて、多様な選択ができるようになっている。 腰痛治療で最初に使われるのは、NSAIDsか「アセトアミノフェン」だ。NSAIDsというと聞き慣れないが、「ロキソニン」や「ボルタレン」という商品名を聞いたことはあるだろう。アセトアミノフェンも「カロナール」などの商品名で知られている。どちらも古くからある鎮痛薬だ。 NSAIDsは鎮痛効果が強いが、副作用がやや強い。アセトアミノフェンは副作用が少ないが鎮痛効果がやや弱い。アセトアミノフェンには、値段が非常に安いというメリットもある。どちらを使うかは医師の考えによるが、日本ではNSAIDs、欧米ではアセトアミノフェンを最初に使うことが多い。 NSAIDsには強い鎮痛作用があるが、消化管の粘膜障害という副作用がある。薬の特性として、痛みを感じにくくすると同時に、胃粘膜を保護する機能を抑えてしまうのだ。長期間使うと非常に難治性の胃潰瘍ができたりするので、注意する必要がある。
精神的ストレスが腰痛を招く
使える薬が増えている 10年くらい前までは、腰痛の薬物治療というと「非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)」くらいだった。現在は症状、原因、病歴などにあわせて、多様な選択ができるようになっている。 腰痛治療で最初に使われるのは、NSAIDsか「アセトアミノフェン」だ。NSAIDsというと聞き慣れないが、「ロキソニン」や「ボルタレン」という商品名を聞いたことはあるだろう。アセトアミノフェンも「カロナール」などの商品名で知られている。どちらも古くからある鎮痛薬だ。 NSAIDsは鎮痛効果が強いが、副作用がやや強い。アセトアミノフェンは副作用が少ないが鎮痛効果がやや弱い。アセトアミノフェンには、値段が非常に安いというメリットもある。どちらを使うかは医師の考えによるが、日本ではNSAIDs、欧米ではアセトアミノフェンを最初に使うことが多い。 NSAIDsには強い鎮痛作用があるが、消化管の粘膜障害という副作用がある。薬の特性として、痛みを感じにくくすると同時に、胃粘膜を保護する機能を抑えてしまうのだ。長期間使うと非常に難治性の胃潰瘍ができたりするので、注意する必要がある。
精神的ストレスが腰痛を招く
安静よりも、適度な運動が効果的
腰が痛いのなら、じっと安静にしていたほうがいい。それが、世間一般の常識ではないだろうか。しかし、最新の臨床研究では、じっと寝ていても効果がないばかりか、むしろ痛みを強く感じたり、長引かせてしまうことがわかってきた。
腰痛があっても安静にせず、できるだけ普段の生活に近い形で過ごしたほうがよい。「痛い場合には、サポーターやコルセットの助けを借りてでも、動くほうがいいんです。どうしても動けないときに数日くらい休むのは、しかたないでしょう。でも、できるだけ早く前の生活に戻る努力をするべきです。そのほうが、慢性化して長期間休職したり離職したりという事態を防げます」と宮本氏。
ただ、コルセットやサポーターに頼りすぎると、体幹の筋力が落ちてしまう。器具をどう使うかは、医師と相談して決めよう。
安静がよくないのなら、積極的に動かす「運動療法」はどうだろう。さまざまな研究で、慢性腰痛では運動療法に高い効果があることが、はっきりしてきた。もっとも、どのような運動が効果的かは研究途上で、まだよくわかっていない。
宮本氏の考えでは、強い運動をいきなりやるのではなく、運動習慣をつけることが大切だという。「週に2、3回、腰周りの筋肉のストレッチと筋力トレーニングをやるといいでしょう。少し汗をかく程度に3、40分やるのがお薦めです」とのこと。