精神的ストレスが腰痛を招く
思い込むことで不安を感じ、痛みが生じる
認知行動療法とは、説明や訓練で認知(ものの受け取り方や考え方)を変えて、精神的なストレスと上手につきあえるようにしていく治療法だ。考え方を変えることで精神的なストレスが減り、日常生活や社会生活が送りやすくなる。うつ病、ストレス障害、統合失調症などの精神障害には広く使われる方法だ。
重症の腰痛では、腰痛に対する恐れや不安を持ってしまい、社会生活や職場復帰が難しくなることがある。たとえば「少しでもかがむと痛くなる」と思い込むと、それだけで不安を感じて、長時間の外出や出勤が難しくなってしまう。
そこで、「コルセットで固定すれば大丈夫」「もし痛み出したら、休憩室で横になればいいだけ」のように考え方を変えたり、少しずつ試して自信をつけたりしていくと、職場復帰や社会復帰につながっていく。実際に、整形外科医だけではなく、精神科医、臨床心理士、理学療法士などのチームで認知行動療法に取り組んで、痛みの治療に成果を上げている医療機関が増えてきている。
ここで気をつけたいのは、「単なる気の持ちよう」と素人が決めつけないことだ。心理的なものといっても、本人は実際に激痛を感じているし、本人の意志だけで、ものの受け取り方や考え方を変えることは難しい。専門家のサポートが必要だ。ただ、いままで原因不明で治療法が見つからなかった慢性腰痛でも、心因性とわかって治療すれば、よくなる可能性がある。
精神的ストレスが、腰痛を招く
腰痛といえば、椎間板ヘルニアなど身体のどこかに異常があってなるものだと、一般的には考える。ところが、身体の組織に異常はなくても精神的なストレスや強い不安から痛みが起きたり、腰痛の原因だったケガが治ったあとにも、痛みが残ってしまうことがあるという。 痛みに心因性のものがあることは、医学的には以前からわかっていた。 痛みのことを医学用語で疼痛という。疼痛は「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」の3つに分けられる。 侵害受容性疼痛は、やけどや切り傷など身体に刺激を受けて感じるものだ。神経障害性疼痛は、神経組織に障害が出て、痛みがあると感じてしまうもの。そして心因性の疼痛は、本来は痛みの原因がないのに、精神的なストレスや不安から痛いと感じたり、弱い痛みを強く感じてしまったりするものだ。痛み(疼痛)を起こす要因は3つある侵害受容性疼痛…身体組織への刺激
神経障害性疼痛…神経の障害
心因性疼痛…心理的影響 心因性疼痛は医学の常識であり、医師の間では、当然、腰痛にも心因性のものがあると考えられていた。しかし、これまでははっきり確認されていないため、あまり積極的な治療法にはつながっていなかった。 それが最近の臨床研究で、心因性の腰痛が確かにあることが、科学的に確かめられてきた。そして慢性腰痛には、「抗うつ薬」や「抗不安薬」が効き、「認知行動療法」など心理的アプローチが有効であることがわかってきている。
朝起きた時の腰痛ストレッチ
朝起きた時にするストレッチ
朝起きた時、そのまま勢いをつけて起き上がる動作は腰に強い負担が!
朝起きた時、そのまま勢いをつけて起き上がる動作は腰に強い負担がかかります。
ガバッと腰を折って起き上がり、そのまますぐに歩き出す……。
このちょっとした動作は、体がまだ目覚めておらず、動く準備できていない状態であるにもかかわらず、かなり負担を腰にかけていることになるからです。
要は、目覚めたらすぐ起き上がるのではなく、自分の体に「起きたよ!」ということを感じさせて、ゆっくり立ち上がるようにすることが大切なのです。
腰に痛みがないなら、このように膝を両手で抱え込むようにしましょう
【目覚めの時にする腰痛予防ストレッチ】
寝具の上で仰向けになり、両足を伸ばす。
足の指を左右に倒すイメージで軽く揺らします。
足を揺らしながら、両手の指もグーパーしながら体の末端を動かします。
背中からおしり、太ももの裏側が伸びていることを感じながら、膝を折り曲げて、膝を体に引き寄せましょう。
(この時、腰に痛みを感じたらすぐやめましょう)
逆の足も同じように体に引き寄せましょう。
最後に可能であれば、両足を腕で抱えるようにして(画像参照)一緒に引き寄せましょう。
このストレッチを、あまり力を入れず、ゆったり時間をかけて行いましょう。
簡単なストレッチですが、これだけで寝ていた体を目覚めさせる効果があります。また、寝ているときに固まってしまった筋肉を伸ばす効果もあり、特に腰まわりの筋肉を伸ばすことに効果があります。
同様に、ベッドや布団から起き上がる時も、腹筋に力を入れて急に腰を曲げるような勢いある動作ではなく、横を向いてゆっくり起き上がるようにしましょう。
腰痛対策
寝返りを増やして腰痛解消!快眠枕の作り方
●必要なもの
かための座布団(使い古して中綿が硬くなったものがよい。厚さ3~4センチ程度)
幅50センチ以上のバスタオル
●作り方
座布団の上に畳んだバスタオルを乗せる。この時、座布団の端とタオルの端をきちんと合わせ、 端っこを直角にしてください。
この角をしっかり肩口に当てた状態で、横向きに寝る。顔の中心を通る線が、布団とほぼ平行 になっていれば、ベストな枕の高さです。力を入れなくてもコロンと首が回るので、寝返りが 打ちやすくなります。
腰痛ストレッチ
4. タオルで脚上げ
ひざを立てひざ小僧にタオルをかける。続いて、タオルを片足のつま先に引っかける。
ひざを伸ばしたまま、手の力でゆっくりと脚を持ち上げる。ひざを伸ばすのが難しい人は 大きめのバスタオルを使用してください。また、反対側の脚のひざを立てて行っても 構いません。
この状態で全身の力を抜き、6回深呼吸。終わったら足を下ろす。 これを左右1回ずつ×3セットが目安です。
目標:下ろしている脚のひざを伸ばした状態で、上げている足裏が天井を向くようになること。
腰痛ストレッチ
3. ひざ抱え
まず、この写真のように、背中を起こさず、片手で片ひざずつ抱えるようにしてください。 そうして両手の指を組んで、両ひざを抱えます。
その状態で両手以外の全身の力を抜き、6回深呼吸。終わったらひざを立てたままあお向けに 戻る。3セットが目安です。
目標:太ももが胸につくこと。
腰痛ストレッチ
2. ひじ立て+ひざ曲げうつ伏せから、ひじを立て、続いてひざを曲げる。この状態で痛みが出る人は、まずは、 ひじ立てのみでも構いません。無理のない範囲で。
この状態で全身の力を抜き、6回深呼吸。終わったらうつ伏せに戻る。3セットが目安です。目標:痛みや硬さを感じなくなること。
腰痛ストレッチ
腰をねじる写真のように腰をねじる。片方の手で片膝を押さえ、もう片方の手は頭の上方に置く。 肩やひざが床につかなくても力を入れず、無理のない範囲で。
この状態で全身の力を抜き、6回深呼吸。これを左右1回ずつ×3セットが目安です。目標:肩とひざが床から離れないようになること。
腰痛ストレッチ
05.骨盤を傾ける
つらい腰痛があるときには、まるで骨盤が動かないように感じるかもしれません。このストレッチは骨盤の動きをゆっくりと戻していくものです。
仰向けに寝て、膝を折り曲げて、足は床に付けます。腰をリラックスさせて、力を抜きます(この時に腰の下に手が入るようなら、腰が反っていると感じているはず)、リラックスさせます。体幹の筋肉に力を入れ、すこし骨盤を前に傾け、骨盤を床にぴったりとつるようにします。これを12回から15回繰り返します。
腰痛ストレッチ
04.膝から胸へのストレッチほかのストレッチと同じく、かたくなった腰の筋肉を伸ばすことができます。
仰向けに寝て、膝を折り曲げて、足は床に付けます。膝の裏または膝小僧の少し下に手を当てて足を抱えます。両手で膝をやさしく引きながら、ゆっくり胸に向けて動かします。この姿勢を20秒から30秒キープし、最初の姿勢に戻します。