精神的ストレスが、腰痛を招く
腰痛といえば、椎間板ヘルニアなど身体のどこかに異常があってなるものだと、一般的には考える。ところが、身体の組織に異常はなくても精神的なストレスや強い不安から痛みが起きたり、腰痛の原因だったケガが治ったあとにも、痛みが残ってしまうことがあるという。 痛みに心因性のものがあることは、医学的には以前からわかっていた。 痛みのことを医学用語で疼痛という。疼痛は「侵害受容性疼痛」「神経障害性疼痛」「心因性疼痛」の3つに分けられる。 侵害受容性疼痛は、やけどや切り傷など身体に刺激を受けて感じるものだ。神経障害性疼痛は、神経組織に障害が出て、痛みがあると感じてしまうもの。そして心因性の疼痛は、本来は痛みの原因がないのに、精神的なストレスや不安から痛いと感じたり、弱い痛みを強く感じてしまったりするものだ。痛み(疼痛)を起こす要因は3つある侵害受容性疼痛…身体組織への刺激
神経障害性疼痛…神経の障害
心因性疼痛…心理的影響 心因性疼痛は医学の常識であり、医師の間では、当然、腰痛にも心因性のものがあると考えられていた。しかし、これまでははっきり確認されていないため、あまり積極的な治療法にはつながっていなかった。 それが最近の臨床研究で、心因性の腰痛が確かにあることが、科学的に確かめられてきた。そして慢性腰痛には、「抗うつ薬」や「抗不安薬」が効き、「認知行動療法」など心理的アプローチが有効であることがわかってきている。