背中の痛み
【背中左上部に出る痛み】▼狭心症、心筋梗塞など「手で握られるような痛み」▼解離性大動脈瘤、大動脈瘤など「引き裂かれるような痛み」心臓の冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心臓に血液が十分供給されなくなるのが狭心症や心筋梗塞。胸の痛みが一般的だが、背中にまで痛みが放散することも。大動脈の内膜が裂けて瘤(こぶ)ができる解離性大動脈瘤などでは、引き裂かれるような激痛が突然起こる。【背中左下部に出る痛み】▼膵炎、膵臓がんなど「耐え難い痛み」▼腎盂腎炎、腎結石など「発熱を伴った痛み」急性膵炎は、脂肪の多い食事をした後や過度の飲酒後に起こることが多い。胆石が原因で起こることも。耐え難い痛みが、みぞおちから左上腹部、背中側にまで及ぶ。細菌感染で起こる腎盂腎炎、腎臓に結石ができる腎結石では、痛みだけでなく、発熱も伴う。
背中の痛み
【腰まわりに出る痛み】
▼尿路結石など「間欠的な痛み」
▼卵管炎、子宮外妊娠など「高熱を伴った痛み」
▼子宮内膜症など「下腹部全体の重い痛み」
尿路結石では、七転八倒するような痛みが突然出現。痛みは出たり消えたりを繰り返す。細菌のクラミジア感染などで起こる卵管炎、受精卵が子宮外に着床する子宮外妊娠では、高熱を伴い腰まわりが痛む。子宮内膜症では月経痛が重く、痛みは下腹部から腰にまで及ぶ。
背中の痛み
痛みの部位でわかる内臓疾患 【背中右上部に出る痛み】▼肺炎、肺結核など「響くような痛み」▼気管支炎など「背中全体に広がる痛み」カゼや喘息、喫煙などが原因で、急性気管支炎になることも。咳や痰、胸の不快感のほか、咳をすると背中全体に痛みが広がる。肺炎や肺結核でも、咳き込むと背中にまで響くような痛みが生じることがある。痰のからむ咳や胸痛、発熱、息切れなども伴う。
【背中右下部に出る痛み】▼十二指腸潰瘍など「差し込むような痛み」▼肝炎など「体のだるさを伴った痛み」▼腎盂腎炎、腎結石など「発熱を伴った痛み」十二指腸潰瘍は20~40歳の比較的若い人に多い。空腹時にみぞおちや右側の背中に、差し込むような痛みが生じる。肝炎の場合は、右わき腹から背中にかけて、だる重いような痛みが起こりやすい。痛みや発熱を伴う腎盂腎炎や腎結石は、左右それぞれ発症する可能性がある。
背中の痛み
背中から腰にかけて、痛い、重い、だるい……。そんな症状が現れることもある。原因は内臓の病気かもしれない。お腹の中の仕組みと、症状別に原因と思われるものを紹介しよう。
「体の後ろ側の『後腹膜(こうふくまく)』という場所の臓器に異常が起こると、背中や腰に痛みなどの症状が出やすい」
図1 お腹の“外側”の後腹膜にあるのは、十二指腸や膵臓、腎臓など。また、心臓からの血液を全身に送る大動脈も背中側を走っている。これらに異常があると、背中や腰に症状が現れやすい
お腹の中には、腹膜で囲まれた腹腔というスペースがあり、この中には胃や肝臓、大腸などの臓器が収まっている。いわゆる“お腹”の臓器だ。この腹膜の後ろの場所が、後腹膜。ここには十二指腸や膵臓、腎臓などがある。「後腹膜はいわばお腹の“外”。だから、ここに異常があると背中や腰に症状が出やすい」
健康を気にする人の油の選び方
米ぬか油は脂肪酸100g中、オレイン酸+シス-バクセン酸39.8g、リノール酸43.6gと、この2つで80%を超えます。リノール酸の割合が高いため、サラダ油と同様の心配をする人もいるでしょう。しかし米ぬか油には抗酸化作用が強いγ-オリザノールが豊富に含まれているため、リノール酸の酸化を抑制してくれることが期待できます。そのため、米ぬか油を揚げ油として使うのがいいと推奨する専門家もいるのです。また、γ-オリザノールには卵胞ホルモンに似た作用があるといわれているので、更年期障害の女性にも向いているかもしれません。最近注目されている油に「アルガンオイル」があります。モロッコ南西部に生育する「アルガンツリー」の実から摂れる油です。ビタミンEの中でもむくみに効果があるとされるγ-トコフェロール、紫外線による炎症などを抑えるフィトケミカルが豊富に含まれているのです。
2015~16年にかけて、テレビの海外情報コーナーで「サハラ砂漠の一部では、ヤギが木に登って実を食べている」という不思議な場面を見た人もいることでしょう。実はこの木がアルガンツリーです。水や食料が少ない地域で、ヤギは生き延びるために木に登って食料を手に入れていたと考えられます。そんな貴重な木の実から摂れる油なのです。ちなみにアルガンツリーは絶滅の危機を迎えたことがありましたが、現在ではユネスコの生物圏保存地域に指定されて保護されています。インカインチオイルともサチャインチオイルとも呼ばれるペルー産のオイルも、人気上昇中です。α-リノレン酸が豊富なだけでなく、ビタミンEであるγ-トコフェロールとトコトリエノールが豊富に含まれています。
栄養価の高いナッツ、ピスタチオから摂れるオイルにはオレイン酸が豊富に含まれています。また、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンKも多く、アントシアニジンやケルセチン、ルテインといったフィトケミカルも含まれているためアンチエイジングの面でも注目されています。これらも今、注目されている油です。外食が中心の場合は特に、自分が摂りたい油を選ぶことができません。だから、せめて自宅で使う油だけでも、自分できっちり選びたいところです。そして、選んだ油を食生活にプラスするのではなく、それまで使用していた油に代えて使えば、脂質の摂取量を増やさずにすみます。細かい努力を積み重ねることで、健康生活に結びつけましょう。
健康を気にする人の油の選び方
ほかに摂取したい油と気をつけたい油は?日本農林規格(JAS)は大豆や菜種(キャノーラ)、ごま、トウモロコシ、紅花(サフラワー)、綿実、ひまわり、米ぬか、ぶどうを原材料としたサラダ油の規格を設けています。また、2種類以上使って混合したものを、調合サラダ油と定めています。このサラダ油に多く含まれているのがリノール酸です。リノール酸は不飽和脂肪酸で、血中コレステロールを減らす作用があるといわれていますが、摂取し過ぎるとアレルギーの原因になることがあるとされています。そして、それ以上に問題なのが「酸化」の面です。
揚げ物などに使用されるサラダ油は、長時間続けて加熱されています。そのため、外食で揚げ物ばかりを食べている場合などに不安な点があります。酸化したリノール酸を大量に摂取すると、脳卒中や心筋梗塞、がんのリスク要因になるという報告があるからです。また、リノール酸が加熱されると、「ヒドロキシノネナール」という物質を産生してしまうことがあるといいます。ヒドロキシノネナールは脳に悪影響を与え、認知症を誘発する原因の一つであるという説もあるのです。オリーブオイルはヘルシーな油として既に定評があります。その理由は、血中コレステロールを下げる作用があるオレイン酸が70%前後含まれているからです※。また、抗酸化作用を持つ天然のフェノール類も含まれています。ただ、オリーブオイルで気をつけなければならないのが、品質です。同じエキストラバージンオイルであっても、私たちに品質の良しあしを見極めることは非常に難しい面があります。そこで、ほかの油に関しても共通していえることですが、信頼できる店で新しいものを選ぶことが基本です。
健康を気にする人の油の選び方
ココナッツオイルには、抗菌、抗ウイルス作用を持つラウリン酸が含まれています。しかも善玉菌は殺さないとされているため、腸内環境を良好に保つために有効だとされています。また、やせホルモンとも長寿ホルモンとも呼ばれる「アディポネクチン」の濃度を高める作用があるともいわれています。アディポネクチンは脂肪細胞を燃焼させたり、動脈硬化や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の改善にも結びつく可能性があるといわれているホルモンです。
ちなみにココナッツオイルは、食用以外の面でも注目されています。ココナッツオイルは優れた保湿性を持っているため、スキンローションなどとしても活用されているのです。
このように万能と思われるココナッツオイルですが、エネルギー効率が高いために、例えば朝食で摂取しても、その効果を1日持続するのが困難な点も覚えておきましょう。1回の摂取は大さじ1杯程度までがいいとされていますが、油である限りカロリーは高いので、効果を持続させようと摂りすぎるのは禁物です。ちなみに、ケトン体の効果を1日中持続させるためには、毎食前に大さじ1杯摂ることが理想という説もあります。
ココナッツオイルは食用油のなかでは酸化には強いほうですが、開封後は1年以内に使い切るようにしましょう。冷蔵庫で保存した場合、温度によって凝固する場合がありますが、異物が混入していなければ品質に影響を与えることはほとんどないとされています。加熱にも強いのですが、例えばフライパンで使用して煙が上がるほど加熱した場合には、有害な副生成物を発生させるケースもあるといわれていますので、加熱のし過ぎには注意しましょう。
健康を気にする人の油の選び方
ココナッツオイルの利点――飽和脂肪酸も「悪者」ばかりではない植物油のなかでも、例外といえるのがココナッツオイルです。実はココナッツオイルに含まれる脂肪酸の半分以上が飽和脂肪酸とされています。それにもかかわらず、さまざまな健康効果が期待されています。その大きな理由は、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が豊富に含まれているからです。飽和脂肪酸は短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の3種類に分けられます。一般的に飽和脂肪酸を摂取しすぎると、生活習慣病の原因になるとされていますが、中鎖脂肪酸はエネルギーとして燃焼されやすいため、体脂肪として蓄積されにくい特徴があります。また、中鎖脂肪酸は体内に取り込まれると、肝臓でケトン体という物質に分解されますが、ケトン体は活性酸素を無害化するといった働きもあるのです。そもそもケトン体は、脳にエネルギーを供給するために作られるといわれています。通常、ブドウ糖をエネルギーとして働いている脳の神経細胞ですが、アルツハイマー病などによって、そのエネルギーをうまく使えなくなる場合があります。エネルギー不足によって認知症状を引き起こしてしまった場合、ケトン体を代替エネルギーとして使用することで、認知症状が改善したという報告もあるのです。
ちなみにケトン体が作られるのは、ココナッツオイルからだけではありません。ケトン体は先ほど述べた飽和脂肪酸の3種類のどれからもつくられます。しかし、短鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸は消化・吸収されてからケトン体がつくられるまでに時間がかかるのに対して、中鎖脂肪酸は素早くエネルギーになり、ケトン体を効率よく作り出します。ケトン体は2~3時間で体内において利用されはじめる、という報告もあるのです。
健康を気にする人の油の選び方
脂質の種類にも気をつけなければいけません。脂肪酸には大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。飽和脂肪酸を多く含む食品の代表は肉の脂肪やバターです。そして不飽和脂肪酸は植物油や魚に含まれている油です。パーム油などには飽和脂肪酸が多く含まれていますが、それ以外の植物油の多くには、不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。 この「飽和脂肪酸」に関しては特に、過剰に摂取すると脂質異常症や動脈硬化といった生活習慣病のリスクが増すといわれています。これに対して亜麻仁油やエゴマ油に多く含まれているα-リノレン酸は、脂質を正常化することなどによって、生活習慣病に対する効果が期待されているのです。
先に引用した「日本人の食事摂取基準」をもっと細かく見てみると、総エネルギーの中で、飽和脂肪酸は7%以下が目標量(男女とも。18歳以上)とされています。総脂質は20~30%とされています※ので、総脂質のなかでも飽和脂肪酸は4分の1~3分の1以下にとどめるのがいいとされているわけです。
健康を気にする人の油の選び方
脂質は「悪者」ではない
脂質はたんぱく質、炭水化物と並ぶ三大栄養素です。なぜこの3つの栄養素が重要なのかというと、体内で分解されると生命活動に必要なエネルギーになるからです。そして、たんぱく質と炭水化物は1gで4kcalのエネルギーを生みだすのに比べて、脂質は1gで9 kcalと、倍以上のエネルギーを生みます。つまり、脂質はとてもエネルギー効率が高いということがいえます。
また、脂質は組織の構成成分となったり、脂質の一種であるコレステロールは細胞膜やホルモンの材料にもなります。さらに脂質は、脂溶性ビタミンが体内に吸収されるのをサポートします。こういった働きを持っているにもかかわらず、脂質は悪者として敬遠されがちです。その一番の理由は、エネルギーとして使い切れなかった脂質が、体内に中性脂肪として蓄積されてしまうからです。また、血中脂質のバランスが崩れることによって、動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高くなることも指摘されています。
そこで気をつけたいのが、脂質の摂取割合です。「日本人の食事摂取基準」では、1日の総エネルギーに占める総脂質の割合は20~30%が目標であるとされています。男性(18~49歳)の推定エネルギー必要量は2650kcal、女性の場合18~29歳は1950 kcal、30~49歳は2000 kcalです※。つまり総エネルギーのうち、男性は530~795 kcal、女性は約390~600 kcalを脂質から摂取することが目標とされているわけです。脂質は摂り過ぎても少なすぎてもよくないということなのです。