借金を増やさない日常生活のコツ
借金を増やさない日常生活のコツ
腰痛、肩こりの借金を増やさないためには、日常生活でやってしまいがちな悪い姿勢を改めることも大切だ。デスクワークで長時間椅子に座る時や、スマートフォンを見る時に、ちょっと工夫をしてみては。
【椅子に座る時】
「背骨が緩やかなS字カーブを描き、骨盤がやや前傾しているのが適切な姿勢です。猫背癖の強い人は、クッションやタオルなどで、適切な姿勢が取りやすくなるようサポートするといいでしょう」
●腰の後ろにクッションを当てる(ランバーサポート)
●薄い座布団や折ったスポーツタオルなどをお尻の下に入れる(仙骨サポート)
肩凝り借金
「肩こり借金」も体操でコツコツ返済しよう
肩こりについては、長時間のデスクワークやいわゆる「スマホ姿勢」が首や肩の筋肉に負担をかけ、その原因にもなる。また、ストレスも肩こりの原因だという。「ストレスでイライラすると、交感神経が強く働き、筋肉の緊張が高まり、肩こりを引き起こします。深い呼吸で肩甲骨を動かす体操がおすすめです」
「ひじ肩ぐるぐる」
(1)背筋を伸ばして椅子に座り、足を肩幅程度に開く
(背もたれにもたれかからない、肩の力を抜く、水平にあごを引く、軽く胸を張り、肩が前に入らないようにする、体幹の軸はまっすぐに保つ、丹田(おへそから5cmほど下)を意識する、骨盤は自然に立てる)
(2)肩の骨に指先を軽く添える(腕の力は抜く)
(3)ひじを後ろ回りにゆっくり回す(徐々に大きく回す、目線は下げない、呼吸は止めずに深く、丹田〔おへその5cmt程度下〕を意識)。5~10回行う肩凝り借金
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
腰痛は動かして治す
腰痛がある場合、「腰を動かすと痛い。痛いから動かすのが怖い」という人もいるだろう。特に、ぎっくり腰の経験があると、痛みへの恐怖から腰をかばってしまいがちだ。しかし、「ほとんどの腰痛にとって、安静は百害あって一利なし」と松平さんは言う。
「腰痛に対する恐怖や不安が強いと、痛みを抑制する脳の機能が低下してしまいます。その結果、腰の組織の炎症は治まっているのにもかかわらず、痛みが続く、ということが起こります。そういった方は、楽観的に痛みと向き合い、積極的に体を動かすことが大切です」
「これだけ体操」は、腰痛に対する痛みや不安を解消し、脳の機能を回復させるきっかけとなる場合があるという。腰痛に悩む人が多い介護職の人などが「これだけ体操」を取り入れ、大きな効果を上げている事例もあるという。慢性腰痛に悩んでいる方はもちろん、腰痛を予防したい方も、試してみてはいかがだろうか。
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
これだけ体操【注意点】
●反らした時に腰に痛みや違和感があっても、元に戻して10秒以内に痛みが引けば心配ない。この時の軽い痛みや違和感は「借金がたまっている証拠」。
●元に戻して10秒たっても痛みが残る場合はいきなり押し過ぎなので、一度強度を弱めてみる。
●「これだけ体操」をやっている最中に、痛みやしびれが太ももやふくらはぎに放散する場合は、体操を中止して整形外科に相談する。
●立ち仕事の人、ハイヒールを履く女性、妊娠中の女性などでは、猫背とは逆に腰が反り過ぎている「逆腰痛借金」の人もいる。こういった人は、椅子に座って、腰をかがめる体操が効果的な場合もある。
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
腰痛借金を返済する「これだけ体操」
「姿勢を良くしなければ…」と分かっていても、仕事に集中すると忘れてしまったり、デスクや椅子の高さが自分に合わなくて良い姿勢をキープするのが難しい、ということもある。
「日常生活の中で、どうしても借金はたまってしまうものなので、ため過ぎないことが大切ですが、コツコツ返済するのが現実的。借金返済におすすめなのが『これだけ体操』です」「これだけ体操」
(1)足を肩幅よりやや広めで平行に開き、リラックスして立つ
(2)お尻より少し上に両手を当て、息を吐きながら骨盤を押し込み胸を開く
(3)骨盤をしっかり押し込んだまま3秒キープしてゆっくり元に戻す
(4)予防の場合1日に1~2回、治療の場合10回を目安に始めてみる
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
無防備に物を持ち上げたり、くしゃみで瞬間的に前かがみになったりすると、腰への負荷が強まる。その時、髄核が大きくずれて線維輪を傷つけてしまうことがある。それが、典型的な「ぎっくり腰」だ。そして、髄核がさらにずれて線維輪よりも外側に飛び出し、神経を刺激してしまった状態が「椎間板ヘルニア」だ。
「私は、猫背や前かがみ姿勢に伴う、主にL4/5椎間板にかかる負担を『腰痛借金』と呼んでいます。借金がたまった結果の『二大事故』がぎっくり腰と椎間板ヘルニアです。事故を未然に防ぐためには、まずは、姿勢を良くして借金をためないことが大切です」
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
背骨を構成している椎骨と椎骨の間にはクッションの役割をする椎間板がある。椎間板は中央の髄核とそれを取り囲む線維輪という組織で構成されている。「髄核はちょっとした姿勢の変化で移動すると考えられています。猫背や前かがみの姿勢を続けていると、本来、椎間板の中央にある髄核が後ろに移動してしまう可能性が高まります」
「無防備に前かがみになるだけでL4/5椎間板には200kgがのっかるくらいの負荷(200kg重)がかかり、例えば、床にいる20kgのお子さんを悪い姿勢のまま抱き上げようとすると400kg重以上の負荷がかかります。お相撲さん2人分です。アメリカの国立労働安全衛生研究所によれば、340kg重の負荷がかかると、腰の組織にダメージを与えるリスクが高まるといわれています」
デスクワークでたまる「腰痛借金」 3秒体操で解消
腰痛、肩こりは日本人の国民病ともいえる身近な症状だ。身近すぎて「あって当たり前」になっていないだろうか。新型コロナウイルスの影響でテレワーク、という人も多い。「いつもと違う労働環境のせいか腰や肩がつらい……」と感じている人もいるかもしれない。近年、腰痛解消のための「これだけ体操」が話題
腰痛は腰に「借金」がたまった状態
長時間パソコンに向かったり、頻繁にスマートフォンをチェックしたり……。現代人の生活は猫背や前かがみの姿勢になりがちだ。この姿勢が腰痛の原因ということはご存じの方も多いだろう。
「腰で最も負荷がかかっているのはベルトの位置。腰椎の4番目(L4)と5番目(L5)の間にある椎間板(L4/5椎間板)には、無防備に前にかがむだけで200kgのものがのっているくらいの負荷(専門的には200kg重という単位)がかかります。お相撲さん1人が椎間板にのっかっているイメージです。腰痛の多くは、こういった負荷による椎間板や腰の関節のちょっとしたずれや傷、それに伴う炎症や背筋の血流不足が原因と考えられています
あっ…「ぎっくり腰」 その直後、激痛でも動ける裏技
現在、西欧諸国や日本の腰痛の診療ガイドライン(治療指針)では、ぎっくり腰などの心配な病気のない急性の腰痛には安静が推奨されていないという。
「腰の痛みが激しい場合、当日、翌日くらいは仕事を休んでも仕方がないですが、痛み止めの薬を飲みながら、家事などでできそうなことがあれば、普段通りにやりましょう。寝たきりで安静にする必要はありません。海外のガイドラインでは、ぎっくり腰などの心配な病気のない一般的な急性の腰痛の場合、安静にして寝ているのは長くて2日までとしているものが多いと報告されています」
ヘルニアや骨の変形が痛みの原因とは限らない
ぎっくり腰で整形外科に行き、X線検査を受けた後、画像を見ながら先生に、「椎間板がすり減っているね」「骨に棘(とげ)がありますよ」などと言われたことはないだろうか。これ以上悪くなったらどうしようと不安になった人もいるだろう。椎間板のすり減りや骨の棘は治療しなくていいのだろうか。
「画像診断はぎっくり腰と他の病気を鑑別するために行いますが、その際、骨の変形(棘)やちょっとしたズレ、ちょっとした椎間板ヘルニアなどが見つかることはよくあります。ほとんどは加齢による変化で、白髪やシワのようなものです。これらは必ずしも腰痛と関連するわけではありません。ちなみに、腰痛がない人でも40~59歳の約8割、60歳以上の約9割に椎間板の異常が見られたという有名な論文があります
中高年にとって骨や椎間板の異常があるのは自然なこと。あまり心配はいらないそうだ。「むしろ、心配や恐れなどのストレスは脳に影響し、腰の痛みを増幅させたり、長引かせたりします。腰の痛みや加齢による変化を過剰に心配したり、怖がったりしすぎないことが大切です。冷静に『動かしても大丈夫なんだ』と思い、体操をしたり、なるべく早く日常生活に戻るようにするといいのです」
あっ…「ぎっくり腰」 その直後、激痛でも動ける裏技
動いたほうが痛みが長引かず、ぎっくり腰の再発率が低い
レッグレイズにはどんな意味があるのだろうか?
「おへそから5cmほど下のいわゆる丹田を意識してレッグレイズを行うとインナーマッスルである腹横筋や多裂筋が働き、それに連動してアウターマッスルである脊柱起立筋が緩みます。ぎっくり腰で痛む時はアウターマッスルが緊張した状態です。この緊張も痛みの原因なので、レッグレイズには痛みを和らげる働きがあるのです」(松平さん)
ぎっくり腰は、動かすと痛いので安静にしがちだが、「ぎっくり腰の痛みは、放置すると悪化するとか、体にとって良くないことが起こるなどの可能性は基本的にはないので、動かしても問題はありません。むしろ、腰をかばって動かさずにいると、腰や背中の筋肉が緊張して血流が悪くなり、疲労物質がたまって発痛物質が増えてしまいます」(松平さん)
ぎっくり腰の後に「安静にした場合」と、「できる範囲で動いた場合」の勤労者を比べた研究では、できる範囲で動いたほうが痛みが長引かず、ぎっくり腰の再発率が低かったという。