健康を気にする人の油の選び方
ココナッツオイルの利点――飽和脂肪酸も「悪者」ばかりではない植物油のなかでも、例外といえるのがココナッツオイルです。実はココナッツオイルに含まれる脂肪酸の半分以上が飽和脂肪酸とされています。それにもかかわらず、さまざまな健康効果が期待されています。その大きな理由は、ココナッツオイルには中鎖脂肪酸が豊富に含まれているからです。飽和脂肪酸は短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸の3種類に分けられます。一般的に飽和脂肪酸を摂取しすぎると、生活習慣病の原因になるとされていますが、中鎖脂肪酸はエネルギーとして燃焼されやすいため、体脂肪として蓄積されにくい特徴があります。また、中鎖脂肪酸は体内に取り込まれると、肝臓でケトン体という物質に分解されますが、ケトン体は活性酸素を無害化するといった働きもあるのです。そもそもケトン体は、脳にエネルギーを供給するために作られるといわれています。通常、ブドウ糖をエネルギーとして働いている脳の神経細胞ですが、アルツハイマー病などによって、そのエネルギーをうまく使えなくなる場合があります。エネルギー不足によって認知症状を引き起こしてしまった場合、ケトン体を代替エネルギーとして使用することで、認知症状が改善したという報告もあるのです。
ちなみにケトン体が作られるのは、ココナッツオイルからだけではありません。ケトン体は先ほど述べた飽和脂肪酸の3種類のどれからもつくられます。しかし、短鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸は消化・吸収されてからケトン体がつくられるまでに時間がかかるのに対して、中鎖脂肪酸は素早くエネルギーになり、ケトン体を効率よく作り出します。ケトン体は2~3時間で体内において利用されはじめる、という報告もあるのです。