健康を気にする人の油の選び方
脂質は「悪者」ではない
脂質はたんぱく質、炭水化物と並ぶ三大栄養素です。なぜこの3つの栄養素が重要なのかというと、体内で分解されると生命活動に必要なエネルギーになるからです。そして、たんぱく質と炭水化物は1gで4kcalのエネルギーを生みだすのに比べて、脂質は1gで9 kcalと、倍以上のエネルギーを生みます。つまり、脂質はとてもエネルギー効率が高いということがいえます。
また、脂質は組織の構成成分となったり、脂質の一種であるコレステロールは細胞膜やホルモンの材料にもなります。さらに脂質は、脂溶性ビタミンが体内に吸収されるのをサポートします。こういった働きを持っているにもかかわらず、脂質は悪者として敬遠されがちです。その一番の理由は、エネルギーとして使い切れなかった脂質が、体内に中性脂肪として蓄積されてしまうからです。また、血中脂質のバランスが崩れることによって、動脈硬化などの生活習慣病のリスクが高くなることも指摘されています。
そこで気をつけたいのが、脂質の摂取割合です。「日本人の食事摂取基準」では、1日の総エネルギーに占める総脂質の割合は20~30%が目標であるとされています。男性(18~49歳)の推定エネルギー必要量は2650kcal、女性の場合18~29歳は1950 kcal、30~49歳は2000 kcalです※。つまり総エネルギーのうち、男性は530~795 kcal、女性は約390~600 kcalを脂質から摂取することが目標とされているわけです。脂質は摂り過ぎても少なすぎてもよくないということなのです。