健康を気にする人の油の選び方
米ぬか油は脂肪酸100g中、オレイン酸+シス-バクセン酸39.8g、リノール酸43.6gと、この2つで80%を超えます。リノール酸の割合が高いため、サラダ油と同様の心配をする人もいるでしょう。しかし米ぬか油には抗酸化作用が強いγ-オリザノールが豊富に含まれているため、リノール酸の酸化を抑制してくれることが期待できます。そのため、米ぬか油を揚げ油として使うのがいいと推奨する専門家もいるのです。また、γ-オリザノールには卵胞ホルモンに似た作用があるといわれているので、更年期障害の女性にも向いているかもしれません。最近注目されている油に「アルガンオイル」があります。モロッコ南西部に生育する「アルガンツリー」の実から摂れる油です。ビタミンEの中でもむくみに効果があるとされるγ-トコフェロール、紫外線による炎症などを抑えるフィトケミカルが豊富に含まれているのです。
2015~16年にかけて、テレビの海外情報コーナーで「サハラ砂漠の一部では、ヤギが木に登って実を食べている」という不思議な場面を見た人もいることでしょう。実はこの木がアルガンツリーです。水や食料が少ない地域で、ヤギは生き延びるために木に登って食料を手に入れていたと考えられます。そんな貴重な木の実から摂れる油なのです。ちなみにアルガンツリーは絶滅の危機を迎えたことがありましたが、現在ではユネスコの生物圏保存地域に指定されて保護されています。インカインチオイルともサチャインチオイルとも呼ばれるペルー産のオイルも、人気上昇中です。α-リノレン酸が豊富なだけでなく、ビタミンEであるγ-トコフェロールとトコトリエノールが豊富に含まれています。
栄養価の高いナッツ、ピスタチオから摂れるオイルにはオレイン酸が豊富に含まれています。また、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンKも多く、アントシアニジンやケルセチン、ルテインといったフィトケミカルも含まれているためアンチエイジングの面でも注目されています。これらも今、注目されている油です。外食が中心の場合は特に、自分が摂りたい油を選ぶことができません。だから、せめて自宅で使う油だけでも、自分できっちり選びたいところです。そして、選んだ油を食生活にプラスするのではなく、それまで使用していた油に代えて使えば、脂質の摂取量を増やさずにすみます。細かい努力を積み重ねることで、健康生活に結びつけましょう。