腰痛4
ところで、「そんな守る仕組みが働くような負荷をかけたことがない」と思われる方もいるのではないでしょうか。
例えば腰痛を引き起こしている「大腰筋」というお腹側の筋肉は座っている状態から立ち上がると急激に伸ばされます。
悪条件が揃うとそれだけでもロックしてしまいます。
1回1回のロックはごくわずかですが、それを繰り返し続けると痛みが生じるところまでロックが蓄積してしまいます。
腰を反らすと痛みがでる腰痛に関係している筋肉
お腹側の筋肉で腰痛に最も影響しているのは大腰筋というお腹の奥にある筋肉です。
背骨の左右から始まり股関節をまたいで太腿の骨までつながっているインナーマッスルで、姿勢を維持したりほとんどの動作で使われる重要な筋肉です。
大腰筋がロックし本来の機能を失うと、体幹だけではなく全身の筋肉に悪影響が出てしまいます。
その他に腸骨筋、小臀筋、大腿直筋などの股関節をまたいでいる筋肉もロックすると腰痛になります。
腰痛3
次に「関節の痛み」ですが、これは筋肉が縮んで伸びなくなっていることによって関節の動きが阻害されることが原因です。例えば、上腕二頭筋という腕の力こぶができる筋肉が硬く縮んで伸びない状態で肘を伸ばすと、肘の関節に大きな負荷がかかり痛みが出ます。筋肉が硬くなって関節の動きが阻害されることによって生じる痛みや症状
関節痛
膝に水が溜まる
ヘルニア
椎間板症
脊柱管狭窄症
軟骨がすり減る
猫背
特定の動きや姿勢で痛みが生じる
筋肉のロックによる痛みの発生メカニズムについては、以下の記事でご確認ください。
腰痛は「筋肉のロック」が原因!腰痛を直すには原因を知ることから!
2018.09.10
筋肉のロックとは筋肉のロックは、一言で表すと「筋肉そのものを守る仕組み」です。
筋肉には、急に伸ばされたり強い衝撃を受けた時や継続的な負荷がかかるなど無理な力が加わると、筋肉の中にある筋紡錘の働きで筋肉が収縮し硬くなります。車のシートベルトのように、緊急時にカチッとロックしそれ以上伸びないようにする安全装置のような機能が備わっているのです。
ロックしてしまうと筋肉が正常な位置に戻っているのにも関わらず「縮んで守れ」という司令を出し続けることがあります。この異常信号は解除しない限り出続けてしまいます。そして、これが繰り返されるとロックした筋肉が増えていき、痛みや不調が現れ始めます。
腰痛2
痛みの発生メカニズム
筋肉がロックすることによって生じる痛みには、大きく分けて2つのタイプがあります。
じっと座っていると痛みが出てくる腰痛と、ある特定の動きをして痛みを感じる腰痛です。
いずれの痛みも筋肉がロックしていることによって起きていて、痛みの出方が異なるだけです。
ロックした筋肉は、太く、硬く、短く縮んで、伸びなくなっているという特徴があります。
まずは「慢性的な痛み」ですが、これは筋肉が太く硬くなっていることによって毛細血管を圧迫し血流が悪くなってしまっていることが原因です。
血流が悪くなると、筋肉に酸素が運ばれにくくなり、酸欠を起こします。それを解消するために酸素を取り込みやすくする「ブラジキニン」という科学物質が分泌されます。
このブラジキニンは痛み物質でもあるので、神経のブラジキニンをキャッチするセンサーでこの物質がキャッチされて、それが脳へと伝えられることによって痛みを感じます。
お風呂に入ったりして体が温まり血流が良くなると、一時的に酸欠が解消されてブラジキニンの生成が抑えられ、痛みがやわらぎますが、筋肉そのものはやわらかくなっていないので、元の体温に戻ると再び痛みが出始めます。
血流悪化による痛みや症状
朝起きた時につらい
じっと座っているとつらい
ずっと立っていると腰が重くなってくる
痛み以外に「冷え」や「むくみ」の原因にもなっています。
腰痛
反らすと痛い腰痛の原因は腰の筋肉?
腰を反らすと痛い場合、腰に原因があると思いませんか。
一般的に腰が痛い場合は腰をマッサージしたり、腰を伸ばしたりと、腰そのものにアプローチすることが多いと思います。
ところが、たいていの場合原因は腰の筋肉ではなく別の場所の筋肉が原因になっています。
あなたは腰を反らして痛みが出る場合、どこが原因になっていると思いますか?
お腹側の筋肉が腰痛を引き起こす
腰を後ろに反らすと痛いのは、腰とは反対のお腹側の筋肉のロックが主な原因です。
腰を反らすという動作をする時にお腹側の筋肉がロックし硬く縮こまっているとうまく伸びず、結果的に背骨と背骨同士を押し付けるような力が加わるため痛みが生じます。
お腹側の筋肉を緩めると、腰を反らしても腰側に負担がかかることがなくなるので、痛みが軽減します。
腰痛と股関節痛の原因筋は同じ?
腰痛の原因筋として、大腰筋・腸骨筋・小臀筋などを挙げましたが、股関節痛も腰痛と同じようように大腰筋や小臀筋が関係しています。
私たちの経験上、まずいきなり股関節痛になるということは少なく、腰痛を患ってから股関節痛になる方が多いです。
腰痛の原因を放っておくと、ロックした筋肉をカバーするために股関節周りの筋肉も徐々にロックしていきます。ロックしている筋肉が増えると、股関節の軟骨に負荷がかかるようになります。最初のうちは股関節の痛みは出ないのですが、ロックしている筋肉がたくさん増えて軟骨を潰すほどの負荷がかかるようになると、そこで初めて股関節に痛みを感じるようになります。
もし、今腰痛があったり、股関節の動きが悪くなってきたという自覚がある方は
股関節痛予備軍です。まずはしっかりと腰痛の原因筋を緩め、その後に股関節周りの筋肉を緩める必要があります。
股関節痛を引き起こす原因となる筋は?
股関節痛には股関節の周りの筋肉ロックが関係するとお話しましたが、では具体的にどのような筋肉があるのでしょうか?動きごとに分類してみます。股関節を曲げる時に痛みが出る場合
大内転筋
股関節を伸ばす時に痛みが出る場合
恥骨筋
大腰筋
小臀筋(前側)
股関節を外に開く時に痛みが出る場合
大内転筋
長内転筋
中臀筋
複数の動きで痛みが出てくる場合、その動きの際に本来伸びてくるはずの筋肉がロックしていることが股関節痛の原因となっていると考えられます。
筋肉のロックが原因で痛みが出ているのであれば、まずは緩めて柔らかくすること が先決です。
股関節痛と腰痛
股関節の前を跨ぐ筋肉のロックが痛みの原因
もう少しわかりやすく説明すると、股関節の前を跨ぐ筋肉が多くロックしたとします。その筋肉は太ももを後ろに伸ばしたり、腰を反らしたりする際に伸ばされる筋肉ですが、ロックして筋肉が伸びない状態で無理に股関節を伸ばすと、どうなってしまうでしょうか?
イメージしやすいように、よくラーメン屋さんなどに置いてある「にんにく潰し」を例に話してみます。にんにく潰しはテコの原理を使って、にんにくに負荷をかけて潰しますが、もし、このにんにく潰しの蝶番の部分がよく伸びるゴムでできていたらどうなるでしょうか。いくらレバーを握ってもゴムが伸びてにんにくが潰れることはないですよね。にんにく潰しは蝶番の部分が伸びないからこそ、にんにくに負荷をかけて潰すことができるのです。
股関節周りの筋肉がロックしてしまうと、股関節の関節軟骨には、このにんにく潰しと同じことが起きてしまうのです。
本来伸びるはずの筋肉が伸びず、硬く短くなっていると、その部分が蝶番のようになってしまいます。太ももの骨はにんにく潰しのレバーに当たります。太ももの骨は股関節を跨いでいる筋肉に比べて非常に長いので、レバーの長いにんにく潰しをイメージすると分かりやすいかもしれません。レバーが長くなればなるほどテコの原理が働いて、少ない力でにんにくを潰すことができますよね。
そして、関節軟骨がにんにく潰しのにんにくに該当します。
股関節を跨いでいる筋肉がロックしてしまうと、伸ばそうとしても筋肉は縮んだままの状態を維持してしまいますので、蝶番のようになります。そのような状態で歩くと、テコの原理が働いた状態で関節軟骨を押しつぶす負荷がかかりつづけることになります。そうなると慢性的な関節炎を引き起こし、股関節痛が発生してしまいます。さらにその状態が長く続くと軟骨や骨がすり減り、太ももの骨の骨頭と骨盤のくぼみが狭くなり、結果「変形性股関節症」となります。加齢現象によって軟骨がすり減るという話もよく聞きますが、若い方でも股関節痛に罹る方は多くいらっしゃるので、年齢はというよりは、筋肉のロックが軟骨をす減らしている原因だと言えます。
腰痛からの股関節痛
股関節は、太ももの骨の上端の骨頭が骨盤のくぼみにはまり込んでいて、前後、左右、回したり自由自在に動かすことができます。
関節の表面には厚さ2~4mm程度の関節軟骨があり、健康な軟骨は股関節にかかる体重を吸収しながら、非常に滑らかに動きます。
この関節軟骨がすり減り、骨も変形してしまった状態が「変形性股関節症」です。
また、大腿骨は骨頭のおよそ2/3が骨盤のくぼみに入り込んでいるので、安定して体重を支えることができているのですが、このくぼみが浅い状態を「臼蓋形成不全」と言います。さて、股関節の働きや形がイメージ出来たところで、股関節痛が起きる仕組みをお話します。
股関節の周りには多くの筋肉がついています。特に股関節の前側には腰痛の原因となっている筋肉と同じ筋肉が通っており、それ以外にも骨盤の横から後ろにかけても多くの筋肉がついています。
股関節の関節軟骨には普段から体重や股関節を動かした際に負荷がかかっていますが、軟骨が潰れるほどの負荷がかかることはなく、自由に動かすことができます。正常な状態であれば、軟骨のお陰で太ももの骨の頭と骨盤のくぼみ間に遊びがあります。
ところが、股関節周りの筋肉がロックすると、この状態が一変します。ロックした筋肉の特徴を思い出してみてください。ロックした筋肉は「太く・短く・硬い」状態にあります。本来であれば伸び縮みできる筋肉がロックしてしまうと、太ももの骨の頭を骨盤のくぼみに押し付ける力が生じてしまいます。
腰痛7
筋肉ロックの3徴
硬くなる
短くなる
太くなる
股関節の前側を跨ぐ筋肉がロックしてしまうと、股関節を曲げる力がかかり、自然と猫背や反り腰のような姿勢になってしまいます。姿勢を維持するためには、背中側の筋肉がその力と同等以上に力を入れないとけなくなり、股関節の前側の筋肉のロックが多くなれば多くなるほど背中側への負担は大きくなります。この状態が続くと、背中側に慢性的に負荷がかかり続け、腰に痛みが出てしまうのです。
腰痛6
腰痛の原因となっている筋肉とは?
腰痛の原因となっている筋肉と股関節痛の原因となっている筋肉には共通点があります。
腰痛、股関節痛はどのように起き、何が原因で痛みを引き起こしているのかを今回は解説したいと思います。
まずは腰痛の原因となっている筋肉について、再度お話をしたいと思います。
慢性腰痛の場合、一般には背中側の筋肉が凝っていたり、張っていたり、筋力の低下などが原因で起きていると思っている方が多くいらっしゃると思います。しかし、腰側に出ている痛みはあくまで結果であり、原因ではありません。
原因となっている筋肉は、痛みが出ている背中側の筋肉に拮抗する筋肉、つまり背骨・骨盤の前側を通っている筋肉になります。
もっと正確に言うと、股関節の前側を跨ぐ筋肉(主に大腰筋・小臀筋・大腿直筋・腸骨筋など)の筋肉たちのロックが腰痛の根本原因なのです。
ここで言っている「筋肉のロック」とは、筋肉が守る仕組みによって硬くなっている状態のことで、一般的に「凝っている筋肉」と表現されています。
このロックした筋肉には、硬くなる以外にも特徴があり、これを「筋肉ロックの3徴」と言います。
筋肉ロックの3徴
硬くなる
短くなる
太くなる