股関節痛と腰痛
股関節の前を跨ぐ筋肉のロックが痛みの原因
もう少しわかりやすく説明すると、股関節の前を跨ぐ筋肉が多くロックしたとします。その筋肉は太ももを後ろに伸ばしたり、腰を反らしたりする際に伸ばされる筋肉ですが、ロックして筋肉が伸びない状態で無理に股関節を伸ばすと、どうなってしまうでしょうか?
イメージしやすいように、よくラーメン屋さんなどに置いてある「にんにく潰し」を例に話してみます。にんにく潰しはテコの原理を使って、にんにくに負荷をかけて潰しますが、もし、このにんにく潰しの蝶番の部分がよく伸びるゴムでできていたらどうなるでしょうか。いくらレバーを握ってもゴムが伸びてにんにくが潰れることはないですよね。にんにく潰しは蝶番の部分が伸びないからこそ、にんにくに負荷をかけて潰すことができるのです。
股関節周りの筋肉がロックしてしまうと、股関節の関節軟骨には、このにんにく潰しと同じことが起きてしまうのです。
本来伸びるはずの筋肉が伸びず、硬く短くなっていると、その部分が蝶番のようになってしまいます。太ももの骨はにんにく潰しのレバーに当たります。太ももの骨は股関節を跨いでいる筋肉に比べて非常に長いので、レバーの長いにんにく潰しをイメージすると分かりやすいかもしれません。レバーが長くなればなるほどテコの原理が働いて、少ない力でにんにくを潰すことができますよね。
そして、関節軟骨がにんにく潰しのにんにくに該当します。
股関節を跨いでいる筋肉がロックしてしまうと、伸ばそうとしても筋肉は縮んだままの状態を維持してしまいますので、蝶番のようになります。そのような状態で歩くと、テコの原理が働いた状態で関節軟骨を押しつぶす負荷がかかりつづけることになります。そうなると慢性的な関節炎を引き起こし、股関節痛が発生してしまいます。さらにその状態が長く続くと軟骨や骨がすり減り、太ももの骨の骨頭と骨盤のくぼみが狭くなり、結果「変形性股関節症」となります。加齢現象によって軟骨がすり減るという話もよく聞きますが、若い方でも股関節痛に罹る方は多くいらっしゃるので、年齢はというよりは、筋肉のロックが軟骨をす減らしている原因だと言えます。