腰痛7
同じ姿勢を長時間続けると、腰痛の原因になります
「立ち仕事は腰に悪い」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、実は立ち仕事そのものというより、同じ姿勢を続けることで同じ場所が疲労するのが痛みやこりの大きな原因です。同じ場所に負荷がかかり過ぎないように、ひと工夫してみましょう。
筋肉の衰えをはじめ、椎間板(ついかんばん)や靭帯(じんたい)へのダメージも腰痛を引き起こします。下図のように、いくつもの短い骨がつながってできている背骨(脊椎)は、前後にゆるやかなカーブを描くS字型。骨と骨の間にはクッションの役割を果たす椎間板があり、靭帯によって連結されています。
背骨(脊椎)はS字型カーブにより、重力を分散したり衝撃を吸収したりしている。無理な姿勢を続けてS字型カーブに負荷をかけると、痛みやこりが起きやすくなる
背骨のカーブと上半身の重さを支えられる腹筋や背筋(はいきん)がしっかりついていない場合、靭帯や別の筋肉に負担がかかります。その結果、不自然な姿勢や体のゆがみなどの原因になり、腰痛を招きます。筋力は加齢によって衰えるので、普段から意識的に体を動かし、筋力を増やしましょう。
腰痛6
コツ5.職場だけではなく家でも外出先でも実行したい!腰にやさしい生活のコツ
家の中での日常生活にも、腰痛を招く原因がたくさん潜んでいます。食事のときも、できるだけ背すじを伸ばして椅子に座ってください。座敷での食事は、足を崩したりせず、正座がおすすめです。
掃除機をかけるときは、中腰の姿勢を避け、左右の手を交互に使ってホースを持ち替えます。食器を洗うときや洗面台の前に立つときは、片足を台の上に置きましょう。
寝具を買い替える際は、敷布団の硬さに配慮を。やわらかすぎるのも硬すぎるのも、腰にとっては考えものです。あおむけになったときに腰がほどよく沈み、背すじが気持ちよく伸びる硬さを目安に選んでください。枕の高さは5~7cmがよいでしょう。枕かその代わりになるものをもう一つ用意し、膝の下に置いて寝ると、さらに腰にやさしい姿勢になります。
飛行機や新幹線に乗るときは、椅子をリクライニングさせすぎて背中が反らないように注意。床や足置きに足を置いて安定させて座ります。椅子の背もたれと腰の間に隙間ができる場合は、クッションや丸めたセーターなどを入れてください。乗り物の中で眠ってしまいそうなときは、膝の上に荷物を乗せて荷物を抱えるようにすると、背骨への負担を減らせます。
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コツ4.冷える人は温めると腰がぐんと楽に!夜は入浴がおすすめ
「節電をしているので冬は職場が寒い」「夏でもエアコンが効いて冷える」という人は、血行の悪さが原因で腰の痛みやこりを招いている場合があります。そんなときは、血液中に溜まった痛みや疲れの原因を流し去ることが大切。腰のこわばりが気になる部分を温めましょう。
全身を効率的に温められるのが、入浴です。熱すぎない38~40℃くらいのお湯に、足を伸ばして首までつかりましょう。入浴すると、新陳代謝が促進されます。上手に入浴剤を使えば、温浴効果が高まるので、腰痛や疲れの改善が期待できます。
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コツ3.寝る前2分の習慣に!腰の疲れをとるストレッチ
座りっぱなしの姿勢が招いた腰痛や腰の疲れは、その日のうちに解消したいもの。寝る前にできる簡単なストレッチをご紹介します。腰やお尻、太ももの筋肉がしっかり伸びているのを意識しながら行ってください。
<寝る前にできる腰痛対策ストレッチ>
あおむけになり、片方の太ももを両手で持ち上げ、膝を胸に近づける。左右の足を交互に5回ずつが目安
※運動やストレッチの効果には個人差があります。無理をせず、伸ばしている部分が「気持ちいい」と感じる程度を目安に行ってください。
腰痛3
コツ2.仕事の合間のストレッチで背筋(はいきん)を伸ばして腰痛を予防腰痛座ったままの作業を続けると、筋肉が緊張します。休憩時間には、自分の席で手軽にできるストレッチで、筋肉をときほぐしましょう。どのストレッチも、キャスター付きではない、固定式の机や椅子を活用してください。
机などに両手を置き、両足を前後にずらして立ち、左右のふくらはぎを伸ばす。それぞれ20~30秒間姿勢をキープし、1~3回ずつ行う
机などから少し離れて立ち、机に両手を置き、上半身を前に倒す。肩や背中の筋肉がしっかり伸びているのを意識しながら20~30秒間静止する。1~3回ほど繰り返す
※運動やストレッチの効果には個人差があります。無理をせず、伸ばしている部分が「気持ちいい」と感じる程度を目安に行ってください。
腰痛2
知っておきたい!デスクワークの人の腰痛を防ぐセルフケアの5つのコツ
「慢性的に腰が痛い。デスクワークなので特に負担はかけていないはずなのに?」。そんな不調の対策や予防法をご紹介します。自分に合ったセルフケアを上手に取り入れて、健康で快適な毎日を送りましょう。
コツ1.これが腰痛になりにくい座り方!下腹に力が入るかチェック
勤務時間の大半を机と椅子で過ごしている人は、作業時の姿勢がとても重要です。
机やパソコンに向かうときは、下腹に力が入るように足を置き、背筋をまっすぐ伸ばすのが基本。背もたれにもたれかかりすぎたり、大きく反ったりしないようにしましょう。
高すぎる椅子に座ると前かがみの姿勢になるので、腰に負担がかかります。足の裏全体が床につく程度の高さに調整するか、足元に台を置きましょう。
<デスクワークの基本の姿勢>
足の裏全体が床につく姿勢が、腰に負担をかけないコツ。作業環境を簡単に変えられない人は、厚底の靴やハイヒールに履き替えるのも一つの方法
足の裏全体が床につく姿勢が、腰に負担をかけないコツ。作業環境を簡単に変えられない人は、厚底の靴やハイヒールに履き替えるのも一つの方法
腰の痛みがひどいときは、腰の痛みが強い方の足を上にして足を組み、ときどきもう一方の足と組み変えてください。椅子から立ち上がるときは、両腕を机に置き、腕で体を支えるようにして立ち上がると、腰への負担が減ります。
腰痛
「座っているから腰に負担をかけていない」という先入観を抱いていませんか?デスクワークの人こそ、腰をいたわる習慣を身につけましょう
「電車では座りたい!」という人が多いことからわかるように、「座っていると楽」と思いがちですが、実はそうではありません。座り仕事の人のほうが立ち仕事の人より腰痛を感じています。
腰痛になったことがある労働者の発生原因作業として、立ち仕事が15.1%なのに対し、腰掛け作業が18.6%と、座り仕事による腰痛を感じている人のほうが多いことがわかる
また、座りっぱなしの姿勢を続けると、血行の悪さから腰痛につながることもあります。同じ姿勢でずっと座ると、腹筋が力を抜くため、背筋(はいきん)に余分な力がかかり、体の後部の筋肉が疲労しやすいためです。デスクワークで腰痛に悩んでいる人は、「座りっぱなしだからこそ腰が痛くなるのかもしれない」と認識を改めましょう。
すぐにできる腰痛対策は、デスクや椅子の高さを調節し、腰に負担がかかりにくい環境をつくり、正しい姿勢で作業すること。職場だけでなく、自宅や乗り物の中での姿勢にも注意を払い、腰にやさしい生活習慣を身につけるとより効果的。血めぐりをよくするセルフケアも取り入れましょう。
ギックリ腰5
テレビをソファでご覧になる場合、「ハリ胸プリけつ」とは逆の姿勢となり、腰の“借金”がたまります。これが積み重なると、朝ちょっと顔を洗う時などに、ぎっくり腰をやってしまう。ソファに座るなとは言いませんので、座る前に「これだけ体操」をまず1回。座っていて負担がかかってきたなと思ったら、その場でまたリセットすると、ずいぶん違うと思います。猫背など悪い姿勢をとっても結構ですが、ただし“借金”を貯めすぎない。そして物を持つ時は、「ハリ胸、プリけつ」を意識していただければと思います。
ギックリ腰4
また、今はせき、くしゃみをしやすい時期ですが、その時には「ハリ胸」までいかなくても、前に手をつくだけでずいぶん腰の負担が減らせます。
立ってテーブルに、あるいは座ったまま太ももに、ちょっとハリ胸で手をつくと、腰にかかる負担をずいぶん軽減できます。手をつくことが本当に、ちょっとしたぎっくり腰予防に役立つのです。
くしゃみをすると、ウエストラインの椎間板には最大300キロ・グラム重、つまり相撲取り2人分ぐらいの負荷がかかります。負荷が340キロ・グラム重を超えると、ぎっくり腰やヘルニアが起こるとされますが、それが手をつく工夫で、実に半分以下まで椎間板への負荷を減らせるのです。
ギックリ腰3
腰を守る「ハリ胸プリけつ」
また、ちょっと言葉にするのは恥ずかしいかもしれませんが、「ハリ胸プリけつ」が腰を守る姿勢のキーワードです。重量挙げがまさにそうですが、物を持つ時に無防備に前かがみになり、骨盤が後傾すると、背中や腰を痛めやすい。そこで胸を張り、お尻を突き出すのです。
中指を鎖骨の部分に当てて、胸をしっかり開きます。足は肩幅よりやや広めで平行に、お尻を突き出して前へ倒れます。なるべく反ったイメージで、前に行く時に常にこのイメージを脳と体で覚えていただくと、これ自体が訓練になります。実際に物を持つ時は、この状態でひざを上手に使えば、ウェイトリフティングと同じポーズになります。
坐骨神経痛の場合、主に狭窄症とヘルニアの2種類があります。「これだけ体操」は狭窄症の方では、先ほど言ったように症状を誘発してしまう可能性がありますが、ヘルニアタイプの場合は、「これだけ体操」で軽いヘルニアが引っ込み、痛みが取れる場合があります。一度やってみて、お尻からももに響かなければ、続けていただいて結構です。
また、今はせき、くしゃみをしやすい時期ですが、その時には「ハリ胸」までいかなくても、前に手をつくだけでずいぶん腰の負担が減らせます。