糖尿病
リスクを下げる栄養素の組み合わせカルシウムとビタミンDを一緒に多くとることが、なぜ糖尿病のリスクを下げるのでしょうか。その相乗作用のメカニズムについては、まだはっきりとはわかっていません。ただ、個別には次のようなことがわかってきています。
<カルシウムと糖尿病>
さきほど少し紹介したように、カルシウムはすい臓の細胞に働きかけて、インスリンの分泌をうながすシグナルを送る役割をしています。
カルシウムは、細胞のなかにある量を1とすると、細胞の外(血液中など)にある量は1万倍にもなります。とても大きな差ですが、このバランスを保つことで、細胞はカルシウムによるシグナルを正確に感知することができるといわれます。
ところが、カルシウムが不足すると、細胞の内と外のバランスがくずれてしまいます。その結果、カルシウムによるシグナルが正確に伝達されず、すい臓からのインスリン分泌にも悪影響を与えることになります。<ビタミンDと糖尿病>
ビタミンDは体内に入ると、肝臓と腎臓で活性化され、活性型ビタミンDになります。活性型ビタミンDは、すい臓のβ細胞に直接作用して、インスリンの分泌を促進する働きをしています。また、ビタミンDはよく知られているように、カルシウムの吸収を高める役割もしています。
ビタミンDが不足すると、こうした働きが低下するため、インスリンがうまく機能しなくなると推測されています。
このようにカルシウムもビタミンDも、インスリンの分泌への影響をもつ栄養素であることがわかっています。厚生労働省研究班の調査では、どちらも単独では目だった効果は確認されませんでした。しかし、カルシウムとビタミンDの両方を多くとることで相乗作用が生まれ、2つがうまく助け合うことが糖尿病のリスクを低下させる、と考えられています。