ロコモは高齢者だけの問題ではない
親の心配ならいざ知らず、自分にはまだまだ関係ないと思っているかもしれないが、ロコモは決して高齢者だけの問題ではない。たとえば、2016年に行われた東京・丸の内近辺で働く20~30代の女性352名を対象とした調査では、参加者の30%が「ロコモ度1(ロコモが始まっている)」、4%が「ロコモ度2(ロコモが進行している)」と判定された(2016年「第3期まるのうち保険室報告書」三菱地所・ラブテリ)。2016年度からは、運動器疾患を早期発見するための「運動器検診」が、学校検診の必須項目に加えられている。
日本整形外科学会が2010年にロコモの予防・啓発の推進を目的に立ち上げた組織、「ロコモ チャレンジ! 推進協議会」の大江隆史委員長は、こう話す。
「ロコモ、すなわち運動器障害に伴う移動機能の低下は確かに高齢者に多く見られますが、運動器疾患がやっかいなのは慢性的に進行し、その経過が長いこと。初期段階では症状がほとんどない状態が長く続くため、患者は医療機関を受診しないことが多いのです。早期発見は極めて難しく、実際に痛みなどの自覚症状が出始めたときには病気がかなり進んでしまっていることが少なくない。高齢となって症状が出る前の若い年代、働き盛りの年代からロコモを知り、予防的な措置を取ることが極めて重要です」