身体の柔軟性
ハムストリングスは働き通し
この測定でわかるのはハムストリングスの柔軟性です。
図で見るとわかるように、ハムストリングスは骨盤(股関節)と膝関節の二関節にまたがった筋肉群。つまり上下の関節にハムストリングスの端と端がしっかり繋がっているので、人間は構造上、股関節と膝関節を同時には十分に働かせることができないんです。
にもかかわらず、スポーツ選手は股関節と膝関節を激しく動かすために、結果としてこのハムストリングスを酷使して、肉離れを起こしたりするんですね。
また、一般の人にとってもこのハムストリングスはとても重要。なぜなら人はみな直立二足歩行をする生き物ですが、この歩くためにひざから下の脚部分を引き上げるという役割を、ハムストリングスが担っているからです。
人は筋を収縮させることで身体を動かしていますが(つまり、歩くということはハムストリングスを収縮させているということ)、筋は収縮を繰り返した後に放置すると、そのまま短縮した状態で定着してしまいます。
そして多くの人はそのまま放置してしまい、ハムストリングスは柔軟性を低下させていくのです。スポーツをしていなくても酷使されているハムストリングスがどんどん硬くなっていくのは当然のことというわけなんです。
ハムストリングスの柔軟性が低下するとどうなるの?
ハムストリングスは骨盤の下方先端の坐骨と、下腿を結ぶ筋です。
先ほど解説したとおり、ハムストリングスは骨盤を後方に引き起こす作用をしているため、ハムストリングスが短縮して柔軟性が低下した状態は骨盤を後傾させることとなり、その結果、いわゆる丸腰を誘発することになります。
(もちろん、“ヤクザ映画などで武器を持たずに戦うこと”ではなく、反り腰の対義語としての丸腰ですね)
丸腰は腰部に大きな負担をかけ、慢性の腰痛を発生させる原因となり、場合によっては腰椎ヘルニアにまで発展する可能性もあります。ランニング動作の最中でも常に丸腰のままで走ることとなり、腰への負担は相当なものになるんです。