肩関節2
四十肩・五十肩の対処法
四十肩・五十肩は、あるとき急に起こります。腕を上げようとすると、肩関節のあたりに痛みと違和感をおぼえ、上がらなくなるのです(通常は片方の肩)。上方向だけでなく、前に手を伸ばしたり、洋服の袖に手を通そうとしたときなどにも、痛みが起こって上がらなくなります(※2)。
そのため肩をかばって日常の動作が不自然になり、肩や首周辺のこりや筋違いを誘発したり、睡眠中にも痛みで目をさまし、睡眠不足になるなど、日常生活にもさまざまな支障が出てきます。
ごく初期の四十肩・五十肩なら、温水シャワーを肩にあてるとスッと腕が上がることもあります。また、もう片方の手でサポートしてやると、あまり痛みを感じずに腕が上がります。
こうした軽症段階の四十肩・五十肩は、意識的に腕を動かすことで改善することができます。人によって、また、症状によって効果は異なりますが、次のような方法を試してみましょう。
(A)2~3キロの軽めのダンベル(あるいはそれに代わるもの)を持ち、腕をだらんと下げて、振り子のようにダンベルをゆっくり前後左右に振る運動をする。
(B)痛む方の腕の手首を、動くほうの手で上からつかみ、頭越しにゆっくり引っ張り上げる(痛む肩周辺を伸ばす)。
ただし、ちょっと腕を動かすだけでも肩が痛む場合(急性)は、肩を動かさないようにし、早めに受診しましょう(整形外科など)。また、症状が似ていても、ほかの病気の可能性もあるので、原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です(※3)。
(※2)四十肩・五十肩は、正式には「肩関節周囲炎」といいます。その名称からもわかるように、関節だけでなく、その周辺のどこかに炎症が起きることが原因です。
(※3)四十肩・五十肩と似た症状の肩痛に、腱板の部分に石灰成分が沈着して炎症を起こす例があります(石灰沈着性腱板炎)。この場合は、肩を少し動かすだけでも強い痛みを生じやすいので、受診して消炎鎮痛薬などによる治療を受ける必要があります。