タバコを喫わないのに肺がん。なぜ?
毎日の食事に大豆食品を
エストロゲンが肺腺がんに影響を与えることから、化学構造が似ていて、大豆食品に多くふくまれるイソフラボンの働きが注目されています。
イソフラボンを多くとると、エストロゲン作用が増加するように思えますが、肺がんについては不思議なことにその反対なのです。
国立がん研究センターの調査によれば、タバコを喫わない男性の場合、イソフラボン摂取量が多いほど肺がん発症リスクが低くなることが判明しています(※5)。イソフラボン摂取量がもっとも多いグループ(平均値で1日当たり48ミリグラム)は、もっとも少ないグループ(平均値で1日当たり9ミリグラム)と比較して、肺がん発症リスクが半分以下(約43%)と、はっきりとした予防効果がみられます。
また、タバコを喫わない女性の場合には、男性ほど顕著ではないものの、やはりイソフラボン摂取量が多いほど肺がんの発症リスクは減少します(摂取量がもっとも多いグループの発症リスクは、もっとも少ないグループの約67%)。
ちなみにこの報告では、イソフラボン12ミリグラムは豆腐で40g、納豆で3分の1パックに相当する量としています。もっとも多いグループは、毎日その4倍を食べている計算になります。
その一方で、喫煙者の場合には、イソフラボン摂取の効果はみられません。
これらのことから、予防のためにはまず禁煙すること。そして、イソフラボンをふくむ食べ物を多くとることが大切だといえます。イソフラボンの多い大豆食品には、豆腐や納豆のほか、大豆の煮豆、湯葉、豆乳、おから(うの花)などがあります。毎日しっかり食べるようにしましょう。
(※5)2010年に発表された国立がん研究センターによる多目的コホート研究の1つで、45~74歳の男女約7万6000人を対象とした調査。この調査では肺腺がんに限定せず、肺がんを対象としています。
また、欧米では、果実や野菜にも予防効果があるとする調査結果もみられますが、日本の調査では果実や野菜の効果は確認されず、国立がん研究センターによる別の調査では「果実にその可能性がある」とだけしています。
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