タバコを喫わないのに肺がん。なぜ?
空気中の汚染物質にも注意を
肺腺がんのもう1つの原因と推定されるのが汚染大気です。
私たちは呼吸するたびに、空気中にあるさまざまな有害物質(細菌やウイルス、自動車の排気ガス、タバコの煙、工場の煤煙など)を吸い込んでいます。肺の末端にある肺胞では、白血球の一種である肺胞マクロファージが有害物質を感知し、除去しています。この防御システムによって、肺胞の機能が守られています。
しかし、肺胞マクロファージが有害物質を取り除くとき、活性酸素が発生します。活性酸素は細菌などの除去に役立っていますが、大量に発生すると正常な細胞まで傷つけてしまいます。その結果、肺胞付近の細胞にがんが発生するリスクが高くなるのです。
吸い込む有害物質が多くなれば、それだけ肺胞マクロファージの出番が増え、活性酸素の発生量も増えます。大都市や工業化の進んだ都市に、肺腺がんの発生率が高いとされるのは、空気中の有害物質に触れる機会が多いからです。
予防のためには、できるだけ空気中の有害物質を体内に入れないように注意する必要があります。「風邪など呼吸器系の病気に気をつける」、「ウォーキングやジョギングは排気ガスの多い幹線道路沿いを避け、公園・緑地などを利用する」、「受動喫煙(ほかの人のタバコの煙)を避ける」などを心がけましょう。