タバコを喫わないのに肺がん。なぜ?
肺腺がんの早期発見
私たちが息を吸うと、空気はノドから気管支をとおり、肺に入ります。肺の中には細い気管支が木の枝のように広がっていて、その末端にある肺胞という部分で、二酸化炭素と酸素の入れ替えがおこなわれます。
肺腺がんは、その肺胞のある末端部付近にできるがんです(※3)。
一般に肺がんの症状といえば、咳と痰が代表的なもので、さらに息切れ、血痰(血の混じった痰)、胸痛、ゼーゼーいう呼吸音などがよく知られています。ところが肺腺がんは、肺の奥深くにできるため、初期には咳や痰などの症状がなかなか出ません。
あるときいきなり血痰が出て、驚いて検査を受けると、すでにかなり進行していた、というケースが少なくありません。なかには脳や骨に転移し、頭痛や腰痛、背中痛などがひどくなって検査を受け、発見されることもあります。
その一方で、胸部レントゲン検査で見つかることもあるので、早期発見のためにはまず定期的に健康診断を受けることが大切です。また、CT検査(X線断層撮影)では、肺腺がんはガラス様陰影(曇りガラスのような影)となって見えます。
咳や痰などの症状がなくても、息切れや胸痛などがある場合には、早めにCT検査を受けるようにしましょう。
(※3)肺腺がんは、肺の奥の粘液などを分泌する細胞(組織)にできます。一方、喫煙の影響を受けやすい扁平上皮がんは、肺の入り口付近の細胞(組織)にできやすいがんです。