悪玉コレステロール 食事と運動のどちらで下がる?
正解は、(1)食事の見直し です。
コレステロールや中性脂肪など、血液中の脂質のバランスが崩れると、「動脈硬化」が進行して血管が傷み、「心筋梗塞」などにより突然死に至るリスクが高まります。
健診結果の脂質のデータが基準値を超えると「脂質異常症」と診断されますが、中でも最も注意すべきなのが悪玉のLDLコレステロールです。LDLコレステロールの値が高くなりがちな中高年にとって、LDLコレステロールを下げることは大きな課題です。
しかし、コレステロール対策は、一筋縄でいくものではありません。なぜなら、コレステロールは人間の体にとって必要な成分で、体内に再生産する仕組みが備わっており、体の中に残りやすいのです。そして、コレステロールはエネルギーにならないため、中性脂肪と違って、運動しても単純に減るわけではありません。
では、悪玉のLDLが高い人はどんな対策をすればいいのでしょうか。
コレステロール対策の専門家である帝京大学名誉教授の寺本民生さんは、悪玉のLDLコレステロールが高い人は、運動に励むだけでは効き目が薄いと話します。いくら運動しても、コレステロールは体内で分解することができないためです。
「LDLコレステロールが高いタイプの人に効くのは運動より食事の見直しです。LDLコレステロールを下げるカギ、『LDL受容体』の働きが良くなるような食材を選ぶことが大切です」と寺本さんは話します。
LDL受容体とは、細胞の表面にある鍵穴(ゲート)のようなもので、多くは肝臓の細胞に存在します。体がコレステロールを必要としたときに、細胞の表面に鍵穴が出てきて、血液中のLDLコレステロールは鍵を差し込むようにして細胞内に入り込んでいきます。そうやってLDL受容体がLDLコレステロールを受け入れると、血液中にたまらずに済むわけです。