悪玉コレステロール 食事と運動のどちらで下がる?
悪玉コレステロールを下がりにくくする食材とは?しかし、困ったことに、この鍵穴、LDL受容体の作用を邪魔するものが存在します。それが動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」です。「飽和脂肪酸には、LDL受容体の合成を抑え込む性質があります」と寺本さん。鍵穴(LDL受容体)が、鍵(LDLコレステロール)と合わないように邪魔してしまうのです。そのため、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪をたくさん食べれば、血液中のLDLコレステロールが過剰になり、動脈硬化が進みやすくなります。動物性脂肪を多く含む食材は、牛肉、豚肉などの「肉」が代表ですが、それ以外にもバターやチーズ、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品などがあります。LDLコレステロールが高い人の場合、鶏卵や魚卵、レバーなどに代表されるコレステロールが豊富な食材も控えることも必要です。2015年に「日本人の食事摂取基準」が改訂されて以来、「コレステロールはたくさん食べても大丈夫」という説が一部で広まっていますが、これは誤解を招く情報です。「食品として摂取するコレステロールは、動物性脂肪ほどには、LDLコレステロールを上げない」ということであって、すでにLDLコレステロールが高い人もたくさんとっていいという意味ではありません。実際、日本動脈硬化学会「脂質異常症診療ガイド2018年版」でも、LDLコレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」の人は、1日200mg未満を目指すよう推奨しています。つまり、悪玉コレステロールを減らす対策の第1優先は飽和脂肪酸のとり過ぎを控えること、そして第2が食事由来のコレステロールの摂取を控えること、と考えればいいでしょう。動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」はLDLコレステロールを上げますが、同じ脂肪酸の仲間、「不飽和脂肪酸」にはLDLコレステロールを下げるとされるものがあります。その1つがオメガ3(n-3系飽和脂肪酸)に分類されるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)です。サバやイワシ、サンマなどの青魚に豊富な成分で、動脈硬化を進みにくくすることで知られています。なお、「適度な運動が体にいい」ことは広く知られています。食事面の改善だけでなく、日々の運動も併せて実践してください。善玉のコレステロールであるHDLコレステロールを上げるには、食事より、運動の方が効果を期待できます。