痩せホルモン
受容体というのは、いわば「鍵穴」のようなもの。ホルモンはその鍵穴にピッタリはまる「鍵」といえます。
そこで今、注目されているのが「オスモチン」という物質です。アディポネクチンと構造が非常に似ているため、オスモチンがこの鍵穴にピッタリと結びつくことができるといわれているからです。オスモチンがアディポネクチンと同じ働きをするのかどうかは研究段階ですが、筋肉にある酵素、AMPキナーゼを活性化することは解明されており、糖や脂肪の代謝をアップさせてくれます。今後、オスモチンのさらなる作用が明らかになれば、もっと注目されることは間違いありません。
その理由の一つは、日本人は遺伝的にアディポネクチンの分泌が少ない人が存在しているからです。太っていないのにアディポネクチンの少ない人が、30~40%程度いるといわれています。そのため、アディポネクチンだけに期待するのではなく、オスモチンが代わりになってくれれば理想的だからです。
オスモチンは植物に含まれているたんぱく質で、フィトケミカルの一種です。とくにリンゴやキウイフルーツ、サクランボ、ブドウなどの果実やピーマン、唐辛子などに含まれています。アディポネクチンが動物由来なのに対して、オスモチンは植物由来の成分なのです。
ただし、果実類は食べ過ぎると内臓脂肪を蓄積させる原因になることもあります。内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌を減らすことになる危険性もありますので、バランスのとれた食事が重要です。