ほとんどの風邪は診察室で予測できる
ほとんどのかぜは診察室で予測ができる
こう書くと、なんだか現代医学もあてにならないなあ、と思うことだろう。でも、もう少し話を聞いてほしい。
実際には、ほとんどのかぜ(放っておけば治る軽度のウイルス感染症)は、診察室で「かぜでしょう」と予測が可能である。決定ではないのだが、かなり精度の高い予測ができる。その感覚は天気予報に近い。
人の体調にしても、天気予報にしても、今から1週間以内に起こることはわりと正しく予測できる。2週間後とか1カ月後の天気は当たらないことが多いが、これから3日間の予報が外れることはめったにない。
今日から3日間はたぶん雨が降るでしょう、と言われるのと、今日から3日くらい鼻水が続いて治るでしょう、と言われるのは、構造的にはかなりそっくりだと思う。どちらも基本的に当たる。
ただし、本当に雨が降り続いたか、本当にかぜだったか否かは、3日経ってみないとわからない。
このことを医者はよくわかっているから、降水確率が40パーセントくらいのときに念のため折りたたみ傘をカバンに入れてでかけるような気持ちで、患者に対して「かぜだと思いますが、悪化したらもう一度病院に来てください」と言う。
最も疑わしい確率にベットしておき、確率は低いがそれよりも一段悪い状況に備えておくのだ。