腰痛の原因
原因が特定できない『腰痛症』対策
しかし、腰痛を訴えても、必ずしもなんらかの病気を宣告されるわけではありません。実際、「腰が痛いんです」と病院に行っても、病名を特定されなかったという人も多いのではないでしょうか。
「レントゲンやMRIなどの画像診断や血液検査などをしても、加齢による退行性変化以外の明らかな異常が見られず、原因が特定できない腰痛があります。これを専門用語で『非特異的腰痛』、一般的には『腰痛症』といいます。じつは、腰痛を訴える人の多くがこの『腰痛症』だと言われているんです」
たとえば冒頭の事務職の女性のような、座りっぱなしや立ちっぱなしといった同一姿勢をし続ける仕事の人の腰痛は、画像診断してもほとんど異常は見られないケースが多いそうです。
「こういう方は、長時間にわたり同じ姿勢をとり続けた結果、腰部に筋肉疲労を起こしていると考えられ、画像診断では異常が認められないのです」
ここですこし、腰痛のメカニズムを理解しておきましょう。
背骨には脳から続く「中枢神経(脊髄)」が通っており、「椎間孔」という骨の窓から「末梢神経(運動神経や知覚神経)」として出ています。筋肉や骨・血行などになんらかの変化があって、それが刺激となり、末梢神経を上行して脊髄に入り、脳へと伝わると痛みなどの感覚になります。これが腰痛として表れる場合があるのです。
「腰痛症は仕事の内容に関連することが多くあり、同一姿勢を続ける作業、重量物を扱う作業の人に多いほか、仕事上の不満や、ストレスなど、心理・社会的な因子が関係することもあります。また、生活習慣においては運動不足と喫煙は深く関連するといわれています」
つまり、「腰痛症」は、肉体的原因や精神的原因など、非常に敏感に反応して表れてくるのです。これが何よりやっかいな点ですね。それだけに対策や予防も大変になり、日々、地道に、姿勢や仕事や家事などの作業方法の見直し、精神面においてのストレスケアなどが必要になるということです。
「1番のオススメの方法としては、ストレッチや体操などをゆっくり行い体全体の柔軟性を高めることです。こうした時間を設けることは心のケアにもなり一石二鳥。ただ、こうしたケアでもよくならない場合は、やはり、何らかの病気が隠れている可能性もありますので、病院で診てもらうことをおすすめします」