「座りっぱなし」は健康むしばむ がん死亡リスク高く
座ったまま過ごす時間(座位時間)とがんによる死亡の関係を調べた研究で、1日の座位時間の合計が長いほどがんで死亡するリスクが高くなることが分かりました。ただし、座っている時間を減らして代わりに運動すれば、リスクは低下する可能性も示されました。
「座っている時間」を自己申告ではなく客観的に計測
座りっぱなしの生活が、総死亡(あらゆる原因による死亡)や心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)による死亡のリスクを高めることは、これまでに行われた研究でも示されており、2015年には、座位時間とがん死亡リスクの関係も報告されています。しかし、いずれの研究においても、座位時間は自己申告に基づいており、客観的な計測は行われていませんでした。また、座位ではない時間に行う運動の影響については、検討されていませんでした。
そこで、米Texas大学MD Andersonがんセンターの研究者たちは、加速度計を用いて客観的に測定した座位時間の合計と、中断なしに座り続けた時間(座位持続時間)が、中高年者のがん死亡リスクに及ぼす影響を調べることにしました。また、座っている時間を減らし、代わりに運動すると、がん死亡リスクにどのような影響が及ぶのかも調べました。
米国で、2003年から2007年に、45歳以上の3万人あまりの米国人(白人および黒人)を登録しました。その時点でがんの治療を受けている患者は除外しました。それらの人々を対象として、2009年5月12日から2012年12月31日までの期間に、加速度計を用いた調査を行いました。7日間連続して、起きている間はずっと、腰に加速度計を装着するよう依頼しました。
記録された加速度計のカウント数に基づいて、身体活動レベルを以下のように判定しました。0~49カウント/分:座位、50~1064カウント/分:軽い運動、1065カウント/分以上:中強度から高強度の運動
加速度計を1日に10時間以上装着した日が4日以上あり、死亡に関する追跡データが得られた8002人(平均年齢69.8歳、男性が45.8%)を分析対象にしました。平均追跡期間は5.3年で、その間に268人(3.3%)ががんで死亡していました。