痩せホルモン
動脈硬化や糖尿病の予防にも役立つってホント?
アディポネクチンが注目される理由は、脂肪燃焼の働きだけではありません。今、最も注目されている点は、動脈硬化を予防し、改善する働きです。
血管は加齢によって弾力が失われるだけでなく、糖や脂質などを摂取することで常に損傷していきます。そうすると血管壁にコレステロールがプラークとして付着しやすくなり、血管を詰まりやすくしてしまいます。動脈硬化は高血圧や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす大きな原因となってしまうのです。 アディポネクチンには血管内の傷を修復するだけでなく、血管を拡張する働きがあります。そのためアディポネクチンがちゃんと分泌されていれば、動脈硬化を予防することが可能となり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを低減できることになります。
アディポネクチンにはインスリンの効果を高める働きもあります。膵臓から分泌されるインスリンは、私たちの体の中で唯一、血糖値を下げてくれる働きを持っています。しかしアディポネクチンの値が低いとインスリンの働きが悪くなってしまい、血糖値が上昇してしまう危険性があります。つまりアディポネクチンには、2型糖尿病の予防に対しても大きな期待がかけられているのです。
また、脂肪を燃焼する働きがあるアディポネクチンの分泌が十分でなければ、脂質の代謝が悪くなってしまいます。このため太りやすくなるだけでなく、中性脂肪の数値が悪くなったり、善玉といわれるHDLコレステロールの数値が低くなったりします。すると、脂質異常症にもつながってしまいます。
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気は「生活習慣病」と呼ばれる病気です。アディポネクチンが正常に分泌されていれば、これらの生活習慣病を防いでくれる可能性があります。そのためアディポネクチンは「長寿ホルモン」とも呼ばれているのです。