高齢者の便秘
大腸がんのリスクを高める下剤の乱用
便秘になると、早くすっきり出したいと、下剤を用いる人が多いのではないでしょうか。医師の診察を受け、適量を規則正しく服用している場合は問題ありませんが、勝手に大量の下剤を服用したり、常用したりすることは、腸の機能を低下させます。
腸管粘膜にある絨毛(じゅうもう)は、有害物質から体を守る「腸管バリア機能」と食べた物から栄養素を取り込む働きをしています。この絨毛は下剤を使うほど炎症が起きて短くなり、蠕動運動ができなくなるのです。腸の炎症は便秘などによって起きますが、下剤の刺激によっても生じ、下剤を多く使用するほど大腸がんのリスクが高まるといわれています。小林教授は、「便秘で最も怖いのは、大腸がんです。以前は20~30代でがんを疑うことはありませんでしたが、いまは若年化しています。便秘の女性で貧血が伴う場合、鉄欠乏性貧血がほとんどですが、鉄剤を飲んでもなかなか貧血が改善しないときは、がんを疑って調べた方がいいでしょう」と注意を呼びかけています。
腸の老化は加齢や便秘などによって、ボヤのような弱い炎症が長く続くことによって進んでいきます。しかし、最近の研究から食生活や生活習慣によって、進行は大きく左右されることがわかってきました。腸の老化をくい止めて、若く保つライフスタイルを心がけたいものです。