腰痛を治したければ背もたれを使うな
ステップ1:腰痛が起こるメカニズムは?
▼脳につくられる“痛みの回路”
腰痛を引き起こすのは、大きく分ければ2つしかない。それは 「骨・関節」と「脳」だ。骨は、先に述べた腰への負担で痛みが生じる。そこで起きた痛みを仮に「1」とすると、その「1」の痛みに対して心理的因子によって脳が拡大解釈して「3」や「4」の痛みだと錯覚してしまうことがあるという。
「痛みの感じ方というのは人それぞれです。『1』の痛みをそのまま『1』と感じる人もいれば、『5』と感じる人もいます。痛みに対して敏感な『5』と感じる人は、脳の神経伝達物質のバランスが悪いと考えられています。傾向としては、不安感が強く、ネガティブな考え方をする人に当てはまることが多くなっています」
「腰痛を含めた疼痛に苦しんでいる人は、思考や創造性、感情などを司る前頭葉の血流が低下しているという研究結果があります。まだはっきりしていないことも多いのですが、腰痛と脳に密接な関係があることは明らかです。腰痛は慢性になる前に早く治療して痛みを取り除く、ということです。痛みが継続的なものになってしまうと、仮に痛みの原因が改善されても、脳が“痛みの回路”を記憶してしまって、いつまでも痛むということも起こりうるからです」
とはいえ、すでに慢性腰痛になってしまっている、という人も多いだろう。そういう人は痛みに対して後ろ向きにならず、前向きな気持ちになれることをすべきだ。たとえば、趣味に没頭するようになったら痛みが改善された、犬を飼い始めたら腰痛が治った、といった事例は数多くあるという。
「あとは、辛い気持ちを吐き出すことでしょうか。ネガティブな思いを人に話すことで、気持ちがすっきりして前向きになれることも多い。悩みや苦しみを自分の中だけに溜め込まないことが大事になると思います」
このように、脳が痛みを拡大解釈して感じさせる傾向があるとはいえ、痛みの元になるのは、「骨・関節」の部分だ。その震源地は、「椎間板」「椎間関節」「仙腸関節」の3つ。腰痛そのものはこれらの骨か、その付近の筋肉から発症する。自分の腰痛が3つの震源地のどれからきているかを知ることが重要になってくる。