慢性腰痛対策
運動が慢性腰痛において効果的であることは多くの研究で明らかとなっています。2017年にアップデートされたアメリカの腰痛ガイドラインによると、一番始めに選択されるべき治療法は、薬に頼らない状態で行う運動と明記されています(詳しくは「最新の医学的根拠から明らかになった、あなたの腰痛に最適な対策とは!?」をご覧ください)。しかしながら、運動といっても種類は様々で、何から始めたら良いか分からないという方も多いのではないでしょうか?運動の代表的なものの一つにウォーキングがありますが、果たして、ウォーキングはどの程度、慢性腰痛に対して効果があるのでしょうか?今回は、これまでの慢性腰痛に対するウォーキングの効果を他の運動と比較した研究結果をまとめた最新の知見をご紹介します。ウォーキングと他の運動の効果を比較この研究では、慢性腰痛に対するウォーキング(実施期間:6~8週間)の効果を、他の運動(筋力トレーニングやストレッチ、集団でのエアロビクスなど)と比較した医学論文(対象:18歳以上の成人)を検索し、質の高い論文のみをまとめることで、慢性腰痛に対するウォーキングが他の運動と比較してどれくらい効果的なのかを調査しました。調査の結果、一定の基準を満たした質の高い研究5本がまとめられました。ウォーキングには他の運動と同様の改善効果が認められた調査の結果、ウォーキングは慢性腰痛の痛み、慢性腰痛による日常生活の障害、慢性腰痛に対する恐怖心の改善が認められました。またその効果は、短期間(~3ヶ月)だけでなく、長期間(6ヶ月~)継続することが認められました。さらに、ウォーキングの効果とその他の運動の効果の比較をしたところ、同程度の改善効果が得られた事が報告されました。